- こくみん共済 coop の公式ホームページ
- あんしんのタネ
人生100年時代、「すこやかであること」は誰もが望むところ。
すこやかなココロやカラダ、日々の豊かさを保つための、ちょっとした知識、
ちょっとした実践法。それらは、生きてゆく中で遭遇するかもしれない、
いざというときにも、思いがけず役立つかもしれません。
こくみん共済 coop のWebカルチャースクールは、
自分をメンテナンスするためのヒントを、シリーズでお届けします。
人生100年時代、「すこやかであること」は誰もが望むところ。
すこやかなココロやカラダ、日々の豊かさを保つための、ちょっとした知識、ちょっとした実践法。それらは、生きてゆく中で遭遇するかもしれない、いざというときにも、思いがけず役立つかもしれません。
こくみん共済 coop のWebカルチャースクールは、自分をメンテナンスするためのヒントを、シリーズでお届けします。
第13回
中編
非常事態を生き抜くために
レジリエンスを高めよう
非常事態を生き抜くために レジリエンスを高めよう
レジリエンスとは、「何かあっても立ち直れる力」のことを指します。このレジリエンスが真価を発揮するのが、今回の新型コロナウイルス感染拡大のような非常事態です。レジリエンスが高い人や企業、地域、そして国は、こうした未曾有の危機にあっても、倒れることなく生き残ることができます。今回は、レジリエンス関連の著書がある環境ジャーナリストの枝廣淳子さんに、レジリエンスの概要や高め方、非常事態下でレジリエンスがどう働くかなどについてうかがいました。前中後編でお届けします。
1962年、京都府生まれ。東京大学大学院教育心理学専攻修士課程終了。2003年に有限会社イーズを設立。環境・エネルギー問題に関する講演、執筆、企業のCSRコンサルティングや異業種勉強会等の活動を通じて、地球環境の現状や国内外の動きを発信。持続可能な未来に向けて新しい経済や社会のあり方、幸福度、レジリエンス(しなやかな強さ)を高めるための考え方や事例を研究。「伝えること」で変化を創り、「つながり」と「対話」でしなやかに強く、幸せな未来の共創をめざす。『レジリエンスとは何か−何があっても折れないこころ、暮らし、地域、社会をつくる』など著書、翻訳書多数。
食べ物もエネルギーも、供給元が一つだと「弱い」
レジリエンスは、個人や家族、企業、地域、国などさまざまな範囲に適用できる考え方です。今回のテーマは、個人のレジリエンスについて。個人のレジリエンスは「人間関係」「暮らし」「心理面」などいくつかの次元で考えることが必要だと枝廣淳子さんは言います。まず、人間関係のレジリエンスを高めるというのは、どういうことなのでしょうか。
「さまざまな人とつながっていると、いざというときに助け合うことができます。そのため、友人や親戚などに、日頃から連絡をしてつながりを保っておく。誕生日にメッセージを送る、くらいのことでいいんです。ただ、非常事態になってからつながりをつくろうとしても難しいですよね。平時から心がけておくことが大事です」
では、「暮らし」のレジリエンスとはどのようなことでしょうか。
「前編でも説明したように、エネルギーや食料を確保できる手段をいくつか持っておきましょう。田舎の祖父母が畑の作物を送ってくれるなど、人とのつながりが入手の選択肢を増やしてくれることもあります。都会に暮らしていて、家には最低限のものしか置かず、近所のコンビニエンスストアを冷蔵庫代わりにしているなんて人もいますよね。平時は身軽でいいかもしれませんが、非常時にコンビニに物資が届かなくなったら途端に生活が破綻してしまいます。レジリエンスの観点から、生活をもう一度考えてみるのもいいかもしれません」
自分の評価は自分で決める。それが心を強くする
そして、個人のレジリエンスとして最も重要になってくるのが、心理的なレジリエンスだと枝廣さんは言います。
「心理的なレジリエンスを高める方法のひとつは、『自分の評価は自分で決めること』です。人が認めてくれないと自分を肯定できない。そんな心持ちだと、人の言動で心がグラグラ揺らいでしまいます。人の意見を聞くことは大事ですが、それはそれとして『自分は自分でいい』と思えるか。思えるようになるために、自分は何を大事にしているか、どういうときに自分は幸せかといった自分と対話する時間を持つとよいでしょう」
また、虐待経験を乗り越えた25人の成人に臨床面接を行った精神医学教授と発達心理学者の夫妻が、レジリエンスをつくり出すものを7つの特性として整理しています。それらは、「洞察」「独立性」「関係性」「イニシアティブ」「創造性」「ユーモア」「モラル」の7つです。レジリエンスを高める参考にしてみてください。
個人のレジリエンスをつくり出す7つの要素
個人のレジリエンスを
つくり出す7つの要素
-
- 洞察
- 難しい問題について考え、誠実な答えを出す習慣
-
- 独立性
- 問題(のある家族)と自分のあいだに境界線を引くこと
-
- 関係性
- 他の人々との親密で充足的な絆
-
- イニシアティブ
- 問題に立ち向かうこと。コントロールすること。労の多い課題によって、自分自身を 強化し試していく傾向
-
- 創造性
- 悩ましい経験や痛ましい感情の混沌に、秩序、美しさ、それに目的を持ち込むこと
-
- ユーモア
- 悲劇の中におかしさを見つけること
-
- モラル
- 良い人生を送りたいという希望を全人類にまで拡大していく良識
Walin, Steven J.M.D., and sybil Walin Ph.D.(1993) The Resilient Self: How Survivers of Troubled Families Rise Above Adversity, Villard Books.(奥野光・小森康永訳『サバイバーと心の回復力――逆境を乗り越えるための7つのリジリアンス』金剛出版、2002年)より
先生からのアドバイス
近年、副業を容認する企業が増え、始める人も増えています。副業は収入源を多様にする意味で、レジリエンスにつながります。現在、新型コロナウイルス感染拡大で、アルバイト先が休業になったり、職場が倒産したりする人も出てきています。そうした場合にいくつか収入源を持っておくと、一つが止まってしまったとしても、他の収入源で生き延びられるでしょう。副業を選ぶ際は、難しいかもしれませんが、本業と違う業種、職種を選ぶことでよりレジリエンスを高めることができます。
いくつもの「自分」をもっていれば、何かあっても大丈夫
アイデンティティの多様化も、レジリエンスにつながります。仕事一筋で、自分のアイデンティティが会社の役職にしかないと、会社が倒産したり失職したりした際に、心がポキっと折れてしまうかもしれません。
「その男性が、例えば夫であり、父親でもあり、地元の少年野球チームのコーチであり、○○高校の何期生の一人であり、登山サークルの一員であり……といったいくつもの『自分』をもっていれば、どれか一つがうまくいかなくても全体が倒れてしまうことはない強さをもつことができます」
そのためにも、「人間関係のレジリエンス」の際に出てきた、人とのつながりを保っておくことが大事です。
また、外出自粛を要請され、家のなかで過ごさなければいけない場合、日頃仕事しかしていないと何をして時間をつぶせばいいのかわからなくなるかもしれません。やりたいことをもつ、趣味をもつことも、心を健康的に保つ秘訣です。
お問い合わせ[お客様サービスセンター]
- ※電話番号のお掛け間違いにご注意ください。
- ※自動音声でご案内後、担当者におつなぎします。
- ※休み明けは電話が混み合うことがございます。ご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。