Let'sセルフメンテナンス! こくみん共済coopのWebカルチャースクール Let'sセルフメンテナンス! こくみん共済coopのWebカルチャースクール

人生100年時代、「すこやかであること」は誰もが望むところ。
すこやかなココロやカラダ、日々の豊かさを保つための、ちょっとした知識、
ちょっとした実践法。それらは、生きてゆく中で遭遇するかもしれない、
いざというときにも、思いがけず役立つかもしれません。
こくみん共済 coop のWebカルチャースクールは、
自分をメンテナンスするためのヒントを、シリーズでお届けします。

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こくみん共済 coop のWebカルチャースクールは、自分をメンテナンスするためのヒントを、シリーズでお届けします。

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前編

デマや悪口などを投稿しないよう
適切な情報の取り扱いを学ぼう

デマや悪口などを投稿しないよう 適切な情報の取り扱いを学ぼう

フェイクニュースなどのデマ情報、SNSでの炎上、思想が偏ってしまう“ネトウヨ”問題─インターネット上で大量の情報に接するようになった現代では、情報の適切な判断や取り扱いができないと、思わぬ事件に巻き込まれることがあります。そこで大事になるのが、情報にまつわるリテラシーです。どのようにすれば情報の真偽を見極め、正しく発信できるようになるのでしょうか。法政大学の教授であり、アジア太平洋メディア情報リテラシー教育センターの代表でもある坂本旬さんに、情報にまつわるリテラシーとはどういうものなのか、どうしたら身につけられるのかをうかがいました。前中後編でお届けします。

法政大学 キャリアデザイン学部
図書館司書課程担当 教授
アジア太平洋メディア情報リテラシー
教育センター 代表

坂本 旬さん

兵庫県出身。1984年、埼玉大学大学院教育学研究科学校教育専攻過程修了。1986年、東京学芸大学大学院教育学研究科学校教育専攻修士課程修了。1988年、東京都立大学大学院教育学専攻博士課程中退。教育系出版社や週刊誌などの編集者、雑誌執筆者を経て、1996年より法政大学。アジア太平洋メディア情報リテラシー教育センター(AMILEC)・福島ESDコンソーシアム代表として、ユネスコのメディア情報リテラシー・プログラムの普及に取り組む。基礎教育保障学会理事。

日本の情報リテラシー教育は遅れている

近年、よく耳にするようになった「情報リテラシー」や「メディア・リテラシー」という言葉。リテラシーとはもともと「識字力」を指す言葉で、現代ではもっと広く、「ある事柄について適切に理解・解釈し、表現できること」を指しています。
インターネットが普及し、手元のスマートフォンでたくさんの情報に触れ、世界に自分の言葉を発信できるようになった現代。だからこそ、情報にまつわるリテラシーは誰にとっても必要です。
しかし坂本旬さんによると、日本ではこうしたリテラシーの教育が非常に遅れているのだといいます。
「日本では長く『情報モラル教育』が行われてきました。これは危ないことには近づけず、ルールを守らせるという保護主義的な発想に基づいています。香川県が発表した、18歳未満による『ネット・ゲーム』の利用時間を制限する条例などからも、この考えが根強いことがうかがえます」
アメリカなど諸外国の教育方針は、もっと先進的なのだそうです。
「アメリカでは、デジタル社会に出たときにどのような力が必要なのかを見据え、実践的にスキルを身につける教育を行っています。教材としてゲームを用い、ゲーム内の正しいコミュニケーションを学んでいるほどです」

アメリカでは2017年にデジタル社会に向けた教育を推進する法案も制定されたそうです。日本では情報にまつわるリテラシーの専門家が少なく、教育体制も整っていないのが課題となっています。

メディアが声高に叫ぶこと=正義とは限らない

ここからは、いくつかの情報に関するリテラシーの成り立ちや概念など、基本的なことを学んでいきましょう。まずは「情報リテラシー」。これは簡単にいうと「情報を探したり、精査したり、使ったりできる能力のこと」です。
「レポート作成や探究(調べ)学習などに必要な力、と考えるとわかりやすいでしょう。ネットメディア、書籍、論文などどこに自分が必要とする情報があるのかわかっている。見つけるための検索方法がわかっている。収集した情報の真偽を確かめられる。さらにその情報を整理し、適切に発信することができる。こうした情報リテラシー教育は、学校図書館を中心に発展してきました」
では、次は「情報リテラシー」よりもよく知られている、「メディア・リテラシー」という言葉について。
「こちらは、メディア・メッセージやコンテンツを批判的に読み解く力のことです。メディアからのメッセージは、何らかの目的をもって発信されています。ある特定の考えをもとに、メッセージを強く伝えるよう誇張した表現が使われている可能性もあります。そういったことを分析し、判断できるのがメディア・リテラシーです」
坂本さんは2002年のアメリカ同時多発テロ事件の直後に、ニューヨークに滞在していました。その際、テレビや新聞といったメディアの報道が一斉にテロへの報復を正当化していく様子を目の当たりにしたそうです。
身近なところでも、Aの事件は連日大きく取り上げられ、Bの事件は小さく1回だけ取り上げられるといった扱いの違いがあると、Aのニュースの方が重大な事件のように見えてしまいます。そこにはメディア側の作為があるのかもしれません。メディア・リテラシーを身につけることで、メディアのメッセージを鵜呑みにせず「おかしいのではないか」と立ち止まって考えられるようになります。

先生からのアドバイス

ここまでの説明を聞いて、私の肩書にもある「メディア情報リテラシー」とは何なのか、と思った方がいるかもしれません。メディア情報リテラシーとは、2009年にユネスコが提唱した、二つのリテラシーを統合した用語です。メディア・リテラシーと情報リテラシーで迷ったときは、この用語を使えば間違いありません。これまで情報リテラシーとメディア・リテラシーは推進する組織も違うし、いろいろと意見の違いがあります。でも呼称を統合することで、対立するのではなく協力して教育を進めていく流れができました。今後は、メディア情報リテラシーという用語が世界的に使われるようになるでしょう。

フェイクニュースを拡散しないために

もう一つ、近年注目されている情報関連のリテラシーが存在します。それは「ニュース・リテラシー」。オンラインの偽情報、いわゆる「フェイクニュース」の問題から必要とされるようになったリテラシーです。
「ニュース・リテラシーは2008年にロサンゼルス・タイムズの記者が提唱しました。オンラインのニュースに特化した情報リテラシー、と考えるとわかりやすいでしょう。ニュース・リテラシーが提唱された背景には、ソーシャルメディアの普及があります。ソーシャルメディアのタイムラインでは、通常のニュースと、ミスリードさせる記事やでっち上げ、陰謀論などが混ざって流通してしまう。そこで、偽情報に惑わされず正確な情報を見極める力が必要になってきました」
フェイクニュースは、2016年のアメリカ大統領選の結果に影響を与えたとして、大きな問題となりました。そのため、フェイクニュースはアメリカの問題と思われていましたが、近年は日本でも社会問題になりました。例えば最近では、新型コロナウイルス感染症の混乱に乗じて、「マスクとトイレットペーパーは同じ原料なのでトイレットペーパーも生産できなくなる」「コロナウイルスは耐熱性がなく、26〜27度の温度で死ぬ。お湯を飲めば予防できる」といったデマ情報がSNSで拡散される事態が起こりました。2018年には台風21号で関西空港から多数の人が出られなくなった際に、「中国大使館が専用バスを手配して救出した」という偽情報が出回りました。さらには、偽情報を投稿した人物が後に特定され、逮捕されたケースもあります。
SNSでこういった情報がまわってきたときは、反射的にシェアをするのではなく、その情報が正しいのかどうかいったん立ち止まって調べることを勧めます。

ニュース・リテラシーと情報リテラシーには情報の真偽を見極める「ファクトチェック」の要素が入ってきます。


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