Let'sセルフメンテナンス! こくみん共済coopのWebカルチャースクール Let'sセルフメンテナンス! こくみん共済coopのWebカルチャースクール

人生100年時代、「すこやかであること」は誰もが望むところ。
すこやかなココロやカラダ、日々の豊かさを保つための、ちょっとした知識、
ちょっとした実践法。それらは、生きてゆく中で遭遇するかもしれない、
いざというときにも、思いがけず役立つかもしれません。
こくみん共済 coop のWebカルチャースクールは、
自分をメンテナンスするためのヒントを、シリーズでお届けします。

人生100年時代、「すこやかであること」は誰もが望むところ。
すこやかなココロやカラダ、日々の豊かさを保つための、ちょっとした知識、ちょっとした実践法。それらは、生きてゆく中で遭遇するかもしれない、いざというときにも、思いがけず役立つかもしれません。
こくみん共済 coop のWebカルチャースクールは、自分をメンテナンスするためのヒントを、シリーズでお届けします。

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後編

動物の習性を理解して
ペットと幸せに暮らそう

愛らしい仕草やその存在感で、私たちをなごませ、癒やしてくれるペット。近年では、動物と一緒の時間を過ごすことが情緒的な安定や生活の質の向上にもつながるとして、ペットを病院や老人ホームにつれていく「動物介在活動」などの動きも広がっています。しかし、「かわいいから」という理由だけでペットを飼い始めると、問題行動や予想外の出費に戸惑うことも。ペットと幸せに暮らすには、飼う前の情報収集が大事です。そこで、今回は長年にわたって人と動物の関係、動物の福祉について啓蒙活動を行ってきた山﨑恵子さんに、ペットに関する正しい情報の集め方や身近な動物の知られざる習性、自分とペットの高齢化への対応などについてうかがいました。前中後編でお届けします。

一般社団法人アニマル・リテラシー総研
代表理事

山﨑 恵子さん

1954年に獣医師の娘として生まれ、動物が身近にいることが当たり前の環境で育つ。大学時代から動物と人間の関係に興味を持ち、子育てが一段落した1989年頃から国際学会に出席する、アメリカの団体に加入するなどして情報収集を始める。1990年からペット研究会「互」を立ち上げ、ニュースレターの配信を開始。一般社団法人アニマル・リテラシー総研代表理事、環境省中央環境審議会動物愛護部会委員、ATT(動物介在療法)コーディネーターなど、多数の役職を兼任。『アニマルセラピー実戦−その構築に関わるコーディネーターの役割』、などの著書、『ペット・ロスと獣医療−クライアントへの効果的な支援』などの訳書も多数。

ペットが年をとっても、快適に暮らせる工夫

ペットと暮らしているなかで、逃れられないのがペットの高齢化です。老齢になると、人間と同じく目や耳がわるくなってきます。脳が老化し、認知症のようになることも。今までできていた排泄も、うまくできなくなる可能性があります。
そんなとき、医療的な処置ではないけれど、家庭の工夫でできるケアがいろいろあると山﨑恵子さんは言います。
「老犬はよくぐるぐると室内を徘徊します。その際にフェンスで囲って専用のスペースをつくってあげる。安全ですし、人間も生活しやすくなります。19歳で看取った猫は、最後、睡眠中だけ垂れ流しの状態になっていました。そのときペットシーツではなく、人間用の尿とりパッドを敷きました。これだと長時間サラサラなんです。こうした知恵は、老犬・老猫を看取った経験のあるベテランの飼い主さんがたくさん持っているはず。身近な飼い主さんに聞いてみてください」

ペットが高齢に差し掛かった場合、山﨑さんは「どこまで医療を受けさせるか」をちゃんと考えたほうがいいと言います。寝たきりになって床ずれの痛みに悩まされている。口からフードを食べられず、常に点滴をしている。そんな状態で長く生きるのは、果たしてその子にとっての幸福なのでしょうか。
山﨑さんが以前飼っていた犬は、悪性リンパ腫にかかってしまい、ほとんど呼吸ができない状態になってしまったそうです。苦しい状態で生き長らえさせることが犬の幸福ではない、と考えた山﨑さんは、獣医師と相談し、安楽死を選択。
「ペットを飼うことは、命を預かること。最後のときにどうするか、相手の身になって考える心構えを、飼い主さんには持っていてほしいですね」

19歳まで生きた山﨑さん宅の猫・フミ子さん。
犬、猫の平均寿命は年々延びており、15歳以上生きる猫も増えてきました。

最後まで面倒をみられるか。飼う前に考えよう

では反対に、自分が年をとった場合、ペットのケアはどうしたらよいのでしょうか。これは今、高齢社会が進展するなかで、大きな課題になっていると山﨑さんは言います。
「困ったことにならないために、60歳を過ぎたら動物を飼う時点でちゃんと考えなければいけません。犬の平均寿命は日本だと14歳ほどと言われていますが、17年、18年と生きる子もいます。猫はさらに犬より平均的に寿命が長いです。少し珍しいペットですが、大型のオウムは平均40〜50歳まで生きます。飼う際にその動物がどれくらい生きるのか、把握しておきましょう」
現在、犬や猫の譲渡会では、60歳以上には譲らないと制限をつけていることがあります。それでも、どうしてもペットが飼いたくて、高齢なのにペットショップで子犬や子猫を買ってしまう、というケースもあるそうです。
「アメリカの愛護団体には、『シニアズ・フォー・シニアズ』という、シニア犬を高齢者の方に譲渡するというプログラムがあります。そうすれば、最後まで飼うことができる可能性が高いからです。しかも、6歳を過ぎた犬は、譲渡会でももらわれにくい。これは人間と犬、どちらにとってもいい制度だと思います」

13歳の犬を引き取ったことがあるという山﨑さん。
看取りボランティアのような感覚で高齢者が高齢犬・猫を引き取ることには意味があると言います。
先生からのアドバイス

ペットがいなくなってしまった後、ペットロスといって深く落ち込んだり、眠れなくなったりすることがあります。それは、同じ空間で暮らしていた家族が死んでしまったわけですから、当たり前の反応です。動物の大小に関わらず、ハムスターが死んでも、セキセイインコが死んでも、かわいがっていた分だけ悲しいものです。思い切り泣いていいんですよ。ただ、もう「悲しい思いをしたくないから動物は飼わない」というのは、「本当にそうなの?」と思います。死んでしまった今は悲しくても、その前にたくさんの楽しいこと、幸せなことがあったのですから。あなたがその動物から受け取った幸せを、次の動物につなげていく。それが供養になるではないかと私は思います。

ペットを誰に託す?自分がいなくなった後の準備とは

高齢になると、介護施設に入ったり、他界したりして、ペットの面倒を見きれないこともありえます。その場合には、ペットを託せる人を想定して、事前に依頼しておきましょう。
「私としては、子どもなどの家族が一番いいと思います。でも、子どもが遠い所に住んでいたり、頼める身内がいなかったりする場合には、ペット信託という方法もあります」
信託とは、財産を信頼できる人に託し、自分が決めた目的に沿って運用・管理してもらう制度です。これを利用し、財産の一部をペットを世話してくれる人に渡し、それで世話をしてもらうことができます。しかし、この場合は、誰に世話を委託するかが問題となってきます。
「1匹50万つけてくれたら面倒をみます、といった団体もあるのですが、実際に飼育実態があるか、どのような飼育をしているのか確認したほうがよいでしょう」
「きちんとお世話をしてくれるかどうか」は、ペットと一緒の入居をうたっている老人ホームなどの施設に対しても、確認が必要な部分です。入居はできても、自分が死んだ後のペットはどうなるのか。そうしたところも、ある程度元気なうちに情報収集をして、考えておきましょう。
「動物を飼うには、考えなければいけないこと、用意しなければいけないことがたくさんあります。それでも、すやすやと眠る姿を見れば癒やされ、触れ合うだけで心があたたかくなる。幸せな動物はすごく良い環境因子になっているんです。動物と一緒に暮らすことは、きっとあなたを幸せにしてくれますよ」

山﨑さんの飼い犬であるヒロくん(左)とフーちゃん(右)。
どちらも人に対して警戒心が強いそうですが、飼い主の前では無防備な寝姿を見せてくれるんですね。
(どちらも山﨑恵子さん撮影)

いざというときのためにも!

災害時のペットのふるまいは、平時にどう飼っているかに大きく左右されます。地震などが起きたときは、呼んだらすぐ来るか、「動かないで」「待て」と言ったら静止できるか、といったしつけが命運を分けます。なにも、お手や三回まわってワンなどの芸を仕込む必要はありません。非常時に必要なのは、基本的な動作です。また、ケージトレーニングも重要です。持ち運び用のクレートにすんなり入ってくれるか。ケージに入れて布などで目隠しをしておいたら、じっとしていられるか。それができれば、避難所に連れて行っても文句は言われないでしょう。
悲しいことですが、家が倒壊して指定の住宅に引っ越さなければいけなくなり、ペットが飼えなくなってしまうこともありえます。そのときに、飼い主以外には噛み付く、特定のフードしか食べない、といった偏りがある子に育ててしまうと、引き取り手が見つかりません。飼いやすいおおらかな子に育てていると、いざというときにもその子が幸せになる可能性が高くなります。

編集後記

動物の習性に詳しく、幅広い知識をもつ山﨑さんのお話。小学生の頃に飼っていたうさぎの習性については、初めて知ることが多く、「当時聞いていれば、あの子はもっと長生きできたのかもしれない」と少し後悔しました。犬と猿……もとい人間のコミュニケーションの違いも、興味深かったです。飼う前にその動物についての基礎知識、注意点をしっかり調べる。ネットで検索するだけでなく、獣医さんに聞く。そうすることで、ペットとの関係をより良好にし、長生きさせてあげられる可能性が高まるんですね。

レポート:崎谷実穂


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