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人生100年時代、「すこやかであること」は誰もが望むところ。
すこやかなココロやカラダ、日々の豊かさを保つための、ちょっとした知識、
ちょっとした実践法。それらは、生きてゆく中で遭遇するかもしれない、
いざというときにも、思いがけず役立つかもしれません。
こくみん共済 coop のWebカルチャースクールは、
自分をメンテナンスするためのヒントを、シリーズでお届けします。

人生100年時代、「すこやかであること」は誰もが望むところ。
すこやかなココロやカラダ、日々の豊かさを保つための、ちょっとした知識、ちょっとした実践法。それらは、生きてゆく中で遭遇するかもしれない、いざというときにも、思いがけず役立つかもしれません。
こくみん共済 coop のWebカルチャースクールは、自分をメンテナンスするためのヒントを、シリーズでお届けします。

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後編

昔と同じ歯磨きしていませんか?
口腔ケアで健康長寿を目指そう

昔と同じ歯磨きしていませんか?口腔ケアで健康長寿を目指そう

何歳になっても、自分の口で好きなものを食べたい。そう願うなら、まずは日々の口腔ケアをしっかり行うことが大事です。でも口腔ケアは、毎日の習慣だからこそ疎かになってしまいがち。「手癖で適当に歯磨きをしている」「口の中をよく見たことがない」「もう何年も歯科医院に行っていない」といった人も多いのではないでしょうか。今回は、口腔健康教育学を専門とする東京医科歯科大学の吉田直美先生に、むし歯や歯周病、口臭、口腔がんなどについてうかがいました。前中後編の3回シリーズを読んで、口腔ケアへの知識を深めましょう。

東京医科歯科大学 大学院医歯総合研究科
口腔健康教育学分野 教授

吉田 直美さん

東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校卒業後、同病院で11年の臨床を経験。その後同校講師を務め、2003年に同大学院で博士号取得。2004年に同大学講師、2009年からの千葉県立保健医療大学教授を経て、2017年9月より現職。その間、歯科衛生士として、がん患者をはじめ、多くの患者や住民へ口腔ケアのためのセルフケアの指導、沖縄離島での歯科診療巡回班、JICA短期専門家などを経験する。日本歯科衛生学会学会長。日本歯科衛生士会認定歯科衛生士(口腔保健管理)、日本歯周病学会認定歯科衛生士、日本健康教育学会認定実践健康教育士。

口腔機能の低下が、全身の衰えにつながっていく

「オーラルフレイル」という言葉を聞いたことはありますか? オーラルフレイルはわずかなむせや食べこぼし、滑舌の低下から始まる口腔機能の低下を言い、口が乾燥する、噛む力や飲み込む力が弱くなるなどの症状を呈します。吉田先生は、治療中の患者さんが喉に水を溜められなくなっているのを見て、口腔機能の低下に気づくことがあるそうです。
「歯石を取ったり歯を削ったりする時、患者さんは通常、口を開けたまま水分を喉のあたりに溜めて息をしているんです。これ、実はけっこう難しいので、喉のあたりの筋肉が衰えるとできなくなってしまいます。こうした機能の低下は少しずつ進むため自分では気づきにくいので、歯科医院で機能が低下していないか測定してもらってください」

口腔機能が低下して筋肉の動きが悪くなると、口の中が汚れやすくなり、むし歯や歯周病の原因になるだけでなく、摂食嚥下の障害が起こります。その場合は歯磨きだけでなく、粘膜ケアなどをして口の中をきれいに保ちましょう。また、舌を突き出して左右に動かす、口を大きく開けて舌の先を上顎につけては離すを繰り返すといった、舌のストレッチなどの機能を維持向上させる訓練もしましょう。
「あとは唾液ですね。唾液がよく出ていれば、むし歯にもなりづらいし、口臭もおさえられます。汚れもつきにくいですし、動かしやすく、しゃべりやすく、飲み込みやすくなり、食べ物もおいしく感じます。口の中を潤った状態に保つように務めましょう」
唾液を出すための唾液腺マッサージは、下のイラストを参考に行ってみてください。それぞれ10回ずつ、1日3セット行うと効果的です。

①耳の横を手指で後から前に向かって回すようにマッサージする。②指を下のアゴの骨の内側の柔らかい部分に当て、耳の下からアゴの下まで5ヶ所くらいを順番に1、2秒押す。③両手の親指を揃え、アゴの真下から舌を突き上げるようにグッと押す。(提供:一般社団法人 福岡県歯科衛生士会)

口腔がん、進行する前にどうやって見つける?

最近、女性タレントがかかっていると告白した口腔がん。わりと進行した状態での発見だったこともあり、話題になりました。口腔がんにかかっているかどうか、どうやって見分けたらよいのでしょうか。
「口腔がんができやすいのは、舌、頬の粘膜、歯肉です。洗面台を明るくして、口の中をよく観察してみましょう。白と赤の斑点には要注意と言われています。頬の粘膜や舌などが白っぽくなっていたら白板症、赤っぽくなっていたら紅板症かもしれません。どちらも悪性化する可能性があるため、歯科医師に診てもらう必要があります」
口内炎で白っぽくなっている場合は、どうなのでしょうか。
「数日で治るなら、口内炎と考えられます。ですが、2週間以上治らない場合は、かかりつけ歯科医院で相談してから、必要に応じて口腔外科へ紹介してもらうといいでしょう」
口腔がんと関連があるのは、喫煙、飲酒、慢性的な刺激(歯が当たるなど)だそうです。思い当たることがある場合は、歯科医院で定期的に診てもらいましょう。

中高年齢になったら、月1回の口腔がんのセルフチェックがおすすめ。
上顎の歯肉など見えにくいところは、頭を後ろに傾けて見てみましょう。舌は前に出すと両脇がよく見えます。
先生からのアドバイス

歯磨きは何回したほうがいいですか? と聞かれることがあります。厚労省の調査によると、多くの方は1日2回磨いています。ですが、フッ素入り歯磨き剤を使う場合は、毎食後、つまり1日3回磨いたほうがフッ素を口腔内に留めやすくなるので、むし歯予防に有効です。歯周病予防には、きちんとプラークを落とすことができているのであれば、1日1回でも大丈夫です。そんなに気負わずに。口腔ケアは続けることが大事なのだから。歯磨きを毎日3回以上、毎回長時間磨いて、フロスも歯間ブラシもワンタフトブラシもやって、フッ素ジェルも塗らなきゃ……となると負担感が大きすぎて続きません。何も、歯磨きをするためだけに生活しているわけではないですから(笑)、必死になりすぎなくてもいいのです。プロの手を借りて、自分に合った口腔ケアの方法を探してください。

かかりつけの歯科医院を見つけ、定期検診に行こう

むし歯や歯周病、口腔がんを早めに発見するには、かかりつけの歯科医院に定期的に通うことが必要です。吉田先生は、「行きつけ」と「かかりつけ」は違うと言います。
「歯が痛くなった時だけに行くのは行きつけで、かかりつけとは言い難いです。かかりつけは、自分の口腔の健康状態や変化をわかってくれて、何でも相談できる関係性ができている歯科医院ではないでしょうか。かかりつけの歯科医院があると長生きするという研究報告があります。やはり、食べる・話すといった人間にとって重要な機能を持つ口の健康状態を維持することが、長寿につながるのでしょうね」
かかりつけの歯科医院を探すポイントは、まず近所であること。さらに、そこの歯科医師は何が専門か、を見ましょう。
「表示されている診療科名は、歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科の4つです。しかし、その4つ以外にも、歯周病、審美、歯内療法、義歯・インプラント、摂食嚥下などその歯科医師が得意としていることと、自分が診てほしいこととがあっているかを調べるのです。口腔ケアを担当する歯科衛生士がいることもポイントですね」
そして、かかりつけにしたい歯科医院が見つかったら、継続して定期検診を受けるのがおすすめです。
「歯のクリーニングをしてくれたり、自分に合ったセルフケアの方法を教えてくれたりします。口腔内の病気も早期発見しやすくなります。今はどこの歯科医院も痛くない治療を心がけています。もし、昔の記憶から『歯医者はこわいところ』と思っている人がいたら、ぜひ一度今の歯科医院に行ってみてください」

引っ越しなどでかかりつけの歯科医院に通えなくなったら、かかりつけ医におすすめの歯科医院を聞きましょう。
そうしたことも相談できるのが、かかりつけのいいところです。

いざというときのためにも!

1995年の阪神・淡路大震災では、災害関連死の約4分の1が肺炎でした。そして、その多くは誤嚥性肺炎だったのです。口内で増えた細菌が誤嚥で肺に移動し、増殖したため炎症を起こして死に至ってしまいました。これ以来、災害時の口腔ケアの重要性に注目が集まりました。
今では、防災グッズに歯ブラシと液体歯磨きを入れておくことが推奨されています。このセットがあれば水がなくても歯磨きができます。また、指に巻きつけて拭くタイプの口腔ケアティッシュもあります。そうしたグッズがない場合、ハンカチやティッシュで歯を拭うだけでも違います。うがいはペットボトルのキャップ2杯の水でできます。災害時の食べ物はおにぎりやパンなど、菌のエサとなる糖を含むものが多くなりがちです。そうするとプラークが溜まりやすいので、なるべく歯磨きやそれに準ずることをして、菌を増やさないようにしましょう。

編集後記

とても明るく朗らかに、口腔ケアについてお話しくださった吉田先生。こんな先生が歯科衛生指導をしてくださるなら、毎日の口腔ケアも楽しく続けられそうだと思いました。フッ素を使った歯磨き剤やジェルは、多くの水で口をすすがないほうがいいというのは初めて知りました。とはいうものの、最初はなかなか慣れず……。気がつくとたくさんの水でぶくぶくしてしまいます。意識して最適なケアをしていきたいものです。

レポート:崎谷実穂


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