Let'sセルフメンテナンス! こくみん共済 coop のWebカルチャースクール Let'sセルフメンテナンス! こくみん共済 coop のWebカルチャースクール

人生100年時代、「すこやかであること」は誰もが望むところ。
すこやかなココロやカラダ、日々の豊かさを保つための、ちょっとした知識、
ちょっとした実践法。それらは、生きてゆく中で遭遇するかもしれない、
いざというときにも、思いがけず役立つかもしれません。
こくみん共済 coop のWebカルチャースクールは、
自分をメンテナンスするためのヒントを、シリーズでお届けします。

人生100年時代、「すこやかであること」は誰もが望むところ。
すこやかなココロやカラダ、日々の豊かさを保つための、ちょっとした知識、ちょっとした実践法。それらは、生きてゆく中で遭遇するかもしれない、いざというときにも、思いがけず役立つかもしれません。
こくみん共済 coop のWebカルチャースクールは、自分をメンテナンスするためのヒントを、シリーズでお届けします。

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後編

「立つ、歩く、持ち上げる」を見直すと
楽に身体が使えるようになる

「立つ、歩く、持ち上げる」を見直すと楽に身体が使えるようになる

私たちはなにげなく身体を動かし、生活しています。それで不都合はないのですが、実は身体には普段使われていない可能性が眠っています。その力を引き出す方法を知ると、日常動作がもっと楽になるかもしれません。
今回は身体技法を研究している甲野陽紀さんに、「立つ・歩く・持ち上げる」の基本の動きを習います。激しい運動はありませんので、どなたでも無理なく取り入れられるはずです。前中後編、3回シリーズでお届けします。

身体技法研究者

甲野 陽紀さん

武術研究者として知られる父・甲野善紀氏のアシスタントを経て、武術のみならず身体の技術を極めた達人の技のエッセンスを日常生活に活かすことに興味を持ち、身体技法研究の道に。日常動作のほか、スポーツ、介護、楽器奏法など、幅広いジャンルに応用するための動作研究、提案をしている。関東での朝日カルチャーセンターをはじめ全国各地で定期講座を持つ。
2018年に『身体は「わたし」を映す間鏡である』(和器出版)を刊行。

甲野陽紀 公式サイト

全体を持ち上げようとしてはいけない

日常の中で重いものを持ち上げなければいけないとき、どこに注意が向いていると思いますか? 身体の一部に力が偏らないよう、対象となるもの全体を持ち上げるようにしたほうがいい、と考えている人も多いのでは。実はそれ、逆に重さを感じてしまい、持ちにくくしているんです。ここでポイントになるのは、どこに注意を向けるのか、ということ。
「物を持ち上げるときは、自分が触れているところに注意を向けてみてください。例えば、重い椅子を持ち上げるときは自分の手が触れている部分、そこだけを持ち上げようとすればいいのです」
このとき、「椅子全体を持ち上げよう」としないことがポイントです。あくまで手で触れているところを持ち上げるだけ。そうすると、自ずと椅子全体が持ち上がります。これは私たちが、ふだんドアを開けるときに無意識にやっていることと同じで、「ドア全体を動かそうとするのではなく、ドアノブを引っ張りますよね」と甲野先生。当たり前に注意を手元に絞っていたから、ドアを開けられるのだと。

先生が、ドアのように引っ張られる役をしてくれたので、その力を実感することができました。先生の腕に触れたところだけを引っ張ったとき、そして先生全体を動かそうとして引っ張ったとき。腕にかかる緊張感が違ってきます。もちろん、腕の触れたところだけに注意を向けたときのほうが、ぐいっとこちらに引っ張ることができました。

手のひらに絵の具を塗ったとイメージして、その絵の具がつく部分だけに注意を向けてみましょう。

自分より大きな人も、すんなり起こせるスゴ技

「触れたところだけを動かす」というのは、介助や介護の場面でも応用がききます。例えば、床に寝転がっている人を起こしたいとき。おそらく、何も教えられず「この人を起してください」と言われたら、体に手を回して全身を起こそうとするでしょう。でも、甲野先生は「本人に負担をかけず介助をしたいならば、その人全体ではなく、触れたところを動かすようにしてください」と言います。

具体的には、寝ている相手の腕の横あたりに正座をします。次に、自分が座っている側と反対にある相手の片腕をしっかり持ちます。持つ場所は相手の手首の上あたりです。そして、寝ている人の腕を、持っている腕と反対の腰の上を通る角度で斜め上方向に引き寄せます。こうすると、驚くほどすんなり相手の上半身が起き上がってきます。腕を引く方向が相手の頭や足先の方になってしまうと、うまくいかないのでご注意を。
そして上半身が起きたら、背中に触れて支えます。このときも、相手の全身を支えようとしないように。自分の手が触れている部分で、身体が倒れるのを止めおくような感覚でいれば大丈夫です。相手が自分より大柄な人の場合にも応用することのできる方法です。
力を入れすぎると身体がこわばってしまうため、触れている部分に「力を入れよう」とはしないことも大事です。少しの言葉の違いが、身体の動きやすさに大きな差を生んでしまうことは、これまでにも学びました。あくまで触れている部分に注意を向け、動かす。それだけです。

先生からのアドバイス

人を起こすとき、腕だけを引っ張ることにためらいを感じる方もいるかもしれません。私も、基本的には接する面積が広いほうが安定すると考えています。しかし私たちの腕は2本しかなく、相手の手も腰も足も同時に支えることはできません。それならばと視点を変え、全体がつながっている一箇所を動かしてみましょう。触れているところのみに注意を向けて動くということは、きっと新しい体験になると思います。

すべてに共通するのは、一動作・一注意

この「触れたところだけを動かす」というのは、前編の一動作・一注意と関連しています。
「人は重い物を持とうとするとき、足を踏ん張らせたり、腰をガチッと固めたりしがちです。そうした身体のくせは、総じて身体を緊張させます。緊張したところに注意が向いてしまうと、触れているところに注意が向けられないのです」
立つ、歩く、持ち上げる。どの動作も、基本は一動作・一注意だということがわかりました。注意を適切なところに、適切な加減で向ける。このことを心がけると、長時間歩いても疲れにくくなったり、重いものを簡単に持ち上げることができたりと、あなたの日常生活の動作がもっと楽になるはずです。

いざというときのためにも!

家族に要介護者がいる場合、災害時はいつも介護士さんにお願いしていることを、家族でやることが求められるかもしれません。このとき、「人を起こす」技術を憶えておくと、役に立つでしょう。この技術は、椅子に座っている相手を立ち上がらせたいときにも応用できます。まず、向かい合って肩甲骨の下あたりを抱きかかえます。腕を引っ張るときよりも接点が増えますが、その接点をまとめて一組の「触れている部分」として考えてみましょう。あとは同様に、触れている部分を動かすことで、うまく抱き起こせます。

編集後記

身体の能力をどれだけ活かせているかなどと、考えるのはアスリートくらいだと思っていました。あまりに日常的な動作にさえ、秘訣があって驚くばかり。考えてみれば世の中、「能力の発揮」といえば、頭を使うことに偏ってとらえがちなのでしょう。今回甲野先生が教えてくれたことを入り口に、もう少し、身体のすごさ、不思議さに関心を持てば、あたらしい世界が見えてくるかもしれません!

レポート:崎谷実穂

会場協力:和器出版(株)


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