2020/3/5

小さな子どもをどう守る?みんなの声から考える防災

東日本大震災から、2020年3月11日で9年が経ちます。防災意識が高まるこの時期、特に小さな子どもがいる家庭では、家族を守る対策について考えておきたいという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、子育て中のパパ・ママに聞いた災害時のエピソードや防災アイデアをもとに、危機管理アドバイザーの国崎信江先生にお話を伺いました。

赤ちゃんがいる家庭の災害時の不安とは?

赤ちゃんがいる家庭では、災害に遭ったときにどんな不安を感じるのでしょう?
東日本大震災時のエピソードをご紹介します。

東日本大震災の地震が起きた直後、生後3ヵ月の息子を抱えてとっさに家から出たのですが、周りに人がいなくてとても孤独に感じました。地震が起きたときに慌ててしまうと思うのですが、まず、どんな行動を取れば良いのかわかりません。
(30代・9歳・4歳のママ)

出産後に退院したタイミングで起きた、東日本大震災。赤ちゃんがいると思うように動けず、停電で照明も暖房も切れた家の中で不安を抱えて過ごしました。
(40代・9歳と5歳のママ)

<国崎先生のアドバイス>

地震が起きたときに建物の外に出るべきかどうかは、その建物の耐震性によって異なります。1981年6月以降の新耐震基準が採用されていない古い建物など、傾いたり、崩壊したりする可能性がある場合は、とにかく早く外に出ることが必要です。阪神・淡路大震災では、地震発生からわずか10秒足らずで建物が全壊したとともに火災が発生しました。引っ越しや家を購入する際には、新耐震基準が採用された以降に建てられた家であるかどうかなどを確認しておくことが、大事だといえます。

耐震性が安心できるレベルであれば、むやみに外に出ないこと。また、家の中を安全にしておき、食料や災害用のアイテムを準備しておくことが前提です。家具は高さや重さに関係なくすべて固定するのはもちろん、赤ちゃんがいる部屋では家具を減らすことも考えてみましょう。

赤ちゃんがいる家庭の防災のヒント

赤ちゃんがいる家庭で実際に取り入れている防災アイデアをご紹介します。
ぜひ、参考にしてみてください。

普段使っているマザーズリュックに、液体ミルク、紙オムツ、離乳食、除菌シートなどを一定数入れておき、非常用としても使用できるようにしています。
(30代・1歳のママ)

災害時は紙オムツや生理用品がお店からなくなると聞いたので、多めにストックして準備しています。
(30代・2歳のママ)

<国崎先生のアドバイス>

自宅から避難する際、赤ちゃんを抱っこして、マザーズバッグと非常用の持ち出し袋の両方を持つのは現実的ではないですよね。だから、マザーズバッグの中に必要最低限の防災アイテムを入れておいて、いざというときはそれを持って出るようにしましょう。
液体ミルク、少し多めの紙オムツやおしり拭き、おやつなどを準備しておくと安心です。おしり拭きは、災害時にはウェットティッシュとして活用できる万能アイテムになります。

備蓄用の紙オムツは、サイズが合わなくなってしまわないよう、予備にワンサイズ大きいものを用意しておきましょう。いずれ成長したときにも、いざというときにも使えます。お水や食材は、少なくとも7日分、私は10日分を備えておいてほしいと思っています。備蓄食品については、後ほどご紹介します。

幼児〜小学生の子どもがいる家庭の防災のヒント

幼児〜小学生の子どもがいる家庭では、万一の災害時に備えてどんな対策をしているかも聞いてみました。

数年前、「災害用伝言ダイヤル(171)」の体験ができる日に、自宅と祖母の実家で練習しました。毎月設けられている体験日に、繰り返し練習できたら良いなと思っています。
(40代・12歳のママ)

下の子は携帯電話を持っていないので、万一のときは近くの大人に助けを求めることを教えました。長男とは、携帯電話がつながらないことを予想して、SNSで連絡を取り合うように約束しています。テレホンカードも持たせていて、数少ない電話ボックスも数ヵ所確認して覚えさせました。
(30代・6歳・13歳のママ)

<国崎先生のアドバイス>

お子さんが保育園や幼稚園、小学校に通っていれば、緊急時に保護する体制が整えられています。園や学校にいてくれれば安心だと考え、まずは慌てないことが大切です。お子さんを心配する気持ちは分かりますが、無理に迎えに行こうとしないようにしましょう。地震が起きてすぐに動くと、二次災害に巻き込まれるリスクもあります。
災害時の園や学校の対応を事前に確認し、不安があるなら改善を求めましょう。

電話が使える年齢になったら、「災害用伝言ダイヤル」の練習をしておきましょう。毎月、1日と15日や防災週間(8月30日〜9月5日)などに、試すことができます。公衆電話の使い方も含めて定期的に体験しておくことで、いざというときもスムーズに使えるでしょう。

わが家でも、災害時の家族との連絡手段で最優先にしているのは、「災害用伝言ダイヤル」。一番確実に相手の状況が分かる方法だからです。また、避難所で待ち合わせるときは、「〇〇学校の校舎横の鉄棒に集合」など具体的な場所を決めています。一日中待機するわけにはいかないので、「朝の10時と午後の3時に集合」と決めています。

●災害時の伝言ダイヤルの詳細はこちら

総務省Web サイト 「災害用伝言サービス」

災害時に家族や地域でたすけあうためのヒント

いざというとき、夫婦やご近所でたすけあうためにどのような工夫をしているのでしょう?

共働きなので、就業時に災害が起きたときは、互いの会社の固定電話から連絡を取り合うことに決めています。それ以外はSNS、災害時伝言ダイヤルを利用する予定です。子どものお迎えは妻が担当します。
(40代・13歳のパパ)

「ママがいなければ、近所の人に助けを求めて」と普段から言っています。ご近所とは仲良しなので、その点は安心です。普段からコミュニケーションをとっておくことは大事ですね。
(40代・15歳と13歳のママ)

<国崎先生のアドバイス>

災害時に夫婦で役割分担をできるかどうかは、職場からの距離やそのときの居場所によっても変わってきます。分担を決めておくのは良いことですが、それにこだわりすぎず、「状況に合わせてできることをする」という柔軟性も大切です。

また、災害時に協力しあえるご近所コミュニティがあれば安心ですね。難しい場合は、困ったときに助けてもらえる環境をつくっておくのも良いでしょう。例えば、近くに行きつけのお店をつくっておいて、「いざというときは、お互いに協力しようね」と話しておくのも1つの方法です。

<国崎先生に聞きました>今日からできる防災アクション

●いつものバッグに、非常用アイテムを入れておく

財布や身分証など、大事なものが入っているのは普段使っているバッグです。そこに非常用アイテムを入れておけば、外出中に災害に遭った場合にも、家の中から避難するときにもそのまま持っていけばよいので安心です。

予備のお財布には、常に3万円程度を入れておくのがおすすめです。災害時には両替ができない、おつりが出ないという場合もあるので、そのうちの1万円は1,000円札で、うち1,000円は100円玉で持っておくと便利でしょう。

<国崎先生がいつも持ち歩いている非常用アイテム>

①止血パッド ガラスやコンクリート片などが当たって出血した場合に止血するためのパッド。ネット通販で購入。
②ワセリン 切り傷ができたときにサッとぬれるので安心。
③ヘッドライト 両手が空くのでおすすめ。点灯するか毎朝チェック。
④ゴミ袋(黒) トイレやレジャーシート代わりとして使ったり、襟ぐり部分を切って授乳ケープやレインコート代わりにできる万能アイテム。
⑤モバイルバッテリー スマホの充電用に。定期的に充電することを忘れずに。
⑥シート状のソーラーパネル リュックにつけて移動しながら充電できる。ネット通販などで購入可能。
⑦ゼリー飲料 空腹や水分不足を補えるように。マイボトルでお茶も常備。
⑧おやつ お気に入りのおやつや軽食を持っておくと安心。

△上記リストの他にもホイッスル、携帯トイレ、粉塵対策用のマスク、防炎フード、常備用カイロなど、厳選されたアイテムがずらり。普段持ち歩いても負担が少ないよう、コンパクトなものや軽量のものがセレクトされています。

●日常食品を10日分備えるという発想に

「10日分の非常食を準備する」と聞くと大変に思えますが、日常食品で10日分くらいをしのいでみると考えてみてください。例えば、冷蔵庫のかまぼこ、チーズ、ハム、納豆なら、火を使わなくても食べられます。野菜や冷凍食品もあるでしょう。赤ちゃん用に冷凍している離乳食も、自然解凍したらそのまま食べられます。うどんなどの乾麺やレトルト食品など、お湯を沸かす環境があれば非常時でも食べられる食材もあるでしょう。

非常用に水分を備える場合も、いつも飲むお気に入りの飲料をまとめ買いをしておくのがおすすめです。備蓄しておいた水の消費期限がいつの間にか切れていたということにもならないですし、災害時に好きなものが飲めるというメリットもあります。日頃からネット通販や宅配を利用すれば、買い物で重い荷物を持つ必要もなく、良いことづくしです。

●防災の本を人生で3冊読んでおく

私は、「人生のなかで防災の本を少なくとも3冊は読んでほしい」とお伝えしています。3冊くらい読むと災害に対する知識がつき、不安も少なくなるからです。
できれば、著者やジャンルの違うものが良いです。災害時のハウツー、被災した方のエピソード、地震のメカニズムなど、何でも良いので興味のあるものを選んでみてください。0歳から読める絵本や、防災の知識を学べるマンガなどもあります。防災について家族で話すきっかけにもなりますよね。
子育て中は忙しいと思いますので、ぜひ、ふだんの生活のなかでできる防災アクションをはじめてみてください。

いつもの暮らしを、防災仕様にアップデートすることからはじめよう

「ふだん使いのバッグに非常用アイテムを入れておく」「日常食品で10日分の食事に備える」。「防災」と聞くとつい身構えてしまいがちですが、国崎先生のお話のなかには、普段の暮らしの中でできるヒントが満載でした。まずは、自身と家族のためにどれか1つでも、できることからはじめてみてはいかがでしょうか。

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<教えてくれた先生>
危機管理アドバイザー 国崎信江(くにざき のぶえ)先生

横浜市生まれ。危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、自治体の防災アドバイザーなどを務める。現在は講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っている。おもな著書に『決定版!巨大地震から子どもを守る50の方法』(ブロンズ新社)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする?』(日本経済新聞出版社)『マンションみんなの地震防災BOOK』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。

危機管理教育研究所


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