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繰り返し開いては飽きずに眺めたり、読み聞かせて一緒に楽しんだり。絵本には、絵本だけが持つ魅力があります。世界で読み継がれている名作から、この数年の、静かなロングセラーまで、多彩な絵本の中からこれ!という一冊を、毎月ご紹介するコーナーです。
第12回
『アンジュール ある犬の物語』
作:ガブリエル・バンサン
刊:BL出版
本体:1,300円
ひと気のない一本道を走る車の窓から、一匹の犬が外に投げ出される……という、冒頭からショッキングな展開の本作。
捨てられてしまった犬は、飼い主の車を追いかけて一心不乱に走りますが、やがてもう追いつけないことを知ると、とぼとぼと歩きはじめます。道中、ふいに大通りを横切ったことで車の衝突事故を招いてしまったり、路地裏を歩けば人間から追い払われ……。やがて道の向こう側に、同じようにひとりぼっちで歩いてくるひとの姿が。犬は新しい飼い主に出会えたでしょうか。
じつはこの絵本には、文字が一切ありません。シンプルかつ勢いのある筆致で描かれる素描に物語のすべてが詰まっており、その繊細な描写には息を飲むばかり。わたくしごとながら、書店でたまたま本書を目にした二十数年前、ことばにできないほどの感動に、その場から動けなくなったことを、いまでも鮮明に覚えています。
タイトルの「アンジュール」とは、フランス語で「ある一日」という意味。一匹の犬のある一日の物語は、字も色もないからこそ、読むひとのこころの中で色づき、想像の世界を膨らませてくれるのでしょう。
絵本を紹介してくれる人
子どもの本の専門店として43年選書をし続けてきた「クレヨンハウス子どもの本売り場」と保育や育児を30年以上応援し続けて来た「月刊クーヨン編集部」。子どもと大人の目線で、毎月「ぜひ読んでほしい!」絵本を紹介していただきます。
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