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人生100年時代、「すこやかであること」は誰もが望むところ。
すこやかなココロやカラダ、日々の豊かさを保つための、ちょっとした知識、
ちょっとした実践法。それらは、生きてゆく中で遭遇するかもしれない、
いざというときにも、思いがけず役立つかもしれません。
こくみん共済 coop のWebカルチャースクールは、
自分をメンテナンスするためのヒントを、シリーズでお届けします。

人生100年時代、「すこやかであること」は誰もが望むところ。
すこやかなココロやカラダ、日々の豊かさを保つための、ちょっとした知識、ちょっとした実践法。それらは、生きてゆく中で遭遇するかもしれない、いざというときにも、思いがけず役立つかもしれません。
こくみん共済 coop のWebカルチャースクールは、自分をメンテナンスするためのヒントを、シリーズでお届けします。

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後編

くよくよ思い悩む人生にさよなら
マインドフルネスで充実した毎日を

くよくよ思い悩む人生にさよなら マインドフルネスで充実した毎日を

つらかったことを思い出したり、これから起こる嫌なことを不安がったりして、気分が落ち込んでしまうことはありませんか。それは、過去や未来に心を引っ張られている「心ここにあらず」の状態。その状態では、現実から離れて物事を悪い方へ考えてしまいます。そうしたことにとらわれず、「今、ここ」の現実をありのままに感じることを「マインドフルネス」と言います。心の平穏を生むだけではなく、創造性を育むこともできるというマインドフルネスとは、いったいどんなものなのでしょうか。今回は、心療内科医としてマインドフルネスを長年研究・実践してきた早稲田大学の熊野宏昭先生に、基本的な考え方から、実際の瞑想の方法までを教わります。

早稲田大学 人間科学学術院 教授
応用脳科学研究所 所長

熊野 宏昭さん

1960年、石川県生まれ。医学博士。臨床心理士。中学からラ・サール学園に入学し、高校2年で勉学の行き詰まりからヨガを始める。1985年、東京大学医学部卒業。1995年、東北大学大学院医学系研究科人間行動学分野 助手。その後、東京大学大学院医学系研究科ストレス防御・心身医学助教授、准教授を経て、2009年4月から早稲田大学人間科学学術院教授に。同年11月、新設された早稲田大学応用脳科学研究所所長に着任。マインドフルネスなどの技法を含む、思考や行動の習慣に働きかける「認知行動療法」を用いた研究を行い、特に医療場面で短期間に大きな効果を上げることを目指している。

まずは呼吸に集中する瞑想から

いよいよ、実際にマインドフルネス瞑想を実践してみましょう。まずは、集中瞑想から入ります。ひとりで行う場合は、タイマーなどで時間を知らせるようセットしておくとよいそうです。初心者の場合は、各瞑想5〜10分が目安です。
まずは背筋を伸ばして座ります。座って目を閉じたら、顎を軽く引きます。手は膝の上に置いたり、お腹の前で重ねたりします。ポーズをとると、熊野先生のガイドに従って集中していきます。
「最初は、座っている身体全体を感じてみましょう。その次は、自分の呼吸に注意を集中していきます。息が入ると、お腹や胸のあたりがふくらんでいく。息が出ていくと縮んでいく。鼻の穴を空気が通っていく。そうした一つ一つを感じるのです」
呼吸はコントロールしようとせず、自然に行いましょう。リズムや秒数なども決まっていません。深い呼吸でも浅い呼吸でもどちらでも大丈夫です。
「最初は、心のなかで言葉を唱えるとよいでしょう。息が入ってくるときは『ふくらみ、ふくらみ』、息が出ていくときは『ちぢみ、ちぢみ』と唱える。呼吸をよく感じるところに気持ちを集中します」
この状態を5分ほど保ちます。途中で雑念が出てきた場合は、「雑念、雑念」と心のなかで声をかけ、「戻ります」と声をかけて呼吸に伴う体の感覚に気持ちを戻します。体のこわばりを感じたときは「こわばり」、かゆみを感じたときは「かゆみ」とラベリングして、また呼吸に戻ります。

家の場合はあぐらのように足を組んで座るのもよいそうです。肩に力が入らないようにしましょう。

注意をさまざまな対象に広げていく瞑想へ

5分ほど集中瞑想を行ったら、注意を広げる観察瞑想に入ります。同じポーズで目を閉じたまま、今度は呼吸の感覚についてもう少し体全体を感じるようにします。
「『ふくらみ、ふくらみ』のときは、息が指先や足先まで、体全体に流れ込んでいく感じ。『ちぢみ、ちぢみ』のときは、息が流れ出していく感じです」
体全体を感じ取ったら、次は体の外にも注意を向けていきます。空調の音、外の音、空気の流れ、温度、人の気配……目を閉じていても聴覚や触覚でさまざまなことが感じ取れます。この間にも、「ふくらみ、ふくらみ」「ちぢみ、ちぢみ」ということを唱え続けています。
「可能であれば、建物の外の空間も感じ取る。それくらい気持ちを広げてもいいでしょう。そして、なにか雑念が浮かんできたら、聞こえてくる音のひとつのように、そのあたりに漂わせておきましょう」
いろいろなものに気を配り、同時に感じ取る。これを5分ほど続けます。ゆっくり目を開けたら、マインドフルネス瞑想は終了です。

先生からのアドバイス

「マインドフルネス」と聞くと新しいもののように思えますが、実は日本人の心にずっと根付いていたものでもあるんです。マインドフルネスを広めたのは、ジョン・カバット・ジンというマサチューセッツ大学医学大学院の教授です。彼は仏教や禅、ヨガを学んで、そのエッセンスを「マインドフルネスストレス低減法」という8週間の治療プログラムに落とし込みました。それが慢性疼痛の患者さんに効果があるということで、世界的に広まったのです。つまり、大本が仏教や禅なので日本人と親和性が高い。柔道、合気道、剣道、弓道などの武道や、お茶、生花、舞踊などの芸事も、心の使い方はマインドフルネスと通じています。これらの武道や芸事を習っている方は、技術を覚えるだけではなく背景にある心の使い方も一緒に身につけると、マインドフルネスが自然と実践できるようになりますよ。

散歩でマインドフルネスの練習を

マインドフルネス瞑想を体験してみたものの、前半の集中瞑想では関係ないことをいろいろ考えてしまい、なかなか集中できませんでした。そう言うと熊野先生は「慣れないうちはそれでいいんです。雑念が浮かんだら、手放して戻る。それを繰り返すと深いリラクセーションが起こるんです」と教えてくれました。
また、集中瞑想で意識していないことが浮かび上がってくるところに、マインドフルネスと創造性を結びつける鍵があるのだそうです。
「集中瞑想でわーっと頭に浮かんできたことを、後半で観察する。これがアイデアを発想するのに役立つんです。だからこそ、Googleなどの企業がマインドフルネス瞑想を研修で取り入れているのだと思います」
そして、瞑想でなくてもマインドフルネスは実践できると熊野先生は言います。
「散歩をすればいいんです。緑が多い道を、周りのことを感じながら歩いていくと、瞑想でやろうとしていたことが自然とできます。イヤホンで音楽を聞きながら歩くなんてもったいない。散歩はいいマインドフルネスの練習になりますよ」
自分というものに固執せず、広く高い視野を持って「今、ここ」を感じる。そんな心の使い方は、きっとあなたを生きやすくしてくれるはずです。できることからマインドフルネスを実践してみましょう。

熊野先生が撮影した写真。自然の中を周りの音や風を感じながら歩くことは、マインドフルネスの練習になるそうです。

いざというときのためにも!

大きな災害が起きた後は、どうしても「元気を出さなければ」「しっかりしなければ」「いつまでも引きずらないようにしなければ」など、自分をコントロールしがちです。「こうあらねば」から離れ、現実がどうなっているかを感じるのがマインドフルネスです。災害時にメンタルヘルスの専門家ができるのは「あなたはそれだけの体験をしたのだから、無理ないですよ」と受け入れること。これを専門家がいなくとも、自分に対して言ってあげられるといいですよね。そして、時が経つと自然に現実は変化していきます。その現実をそのまま感じられれば、次にするべきことも見えてきます。心を閉じず、不安をむやみに大きくもせず、変化するのを待って受け入れる。それが一番よいと思います。

編集後記

興味はあったけれど、実践したことがなかったマインドフルネス瞑想。それを今回、日本のマインドフルネス研究の第一人者、熊野先生のガイドで体験することができました。普段の生活では常に何かを考えているので、何も考えない時間をつくるのが新鮮でした。これまでは数分歩くときでもラジオや音楽を聴いていたので、今後はもっと周囲の環境を感じ取り、「今、ここ」にフォーカスできたらいいな、と思います。習慣化することで、心の使い方に変化が出てくるのが楽しみです。

レポート:崎谷実穂


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