今月の「生きるヒント」

シリーズ 人生のチャレンジ 移住を選んだ人たち 第9回《後編》農園スタッフ兼ギャラリー主宰 桑原玲子さん

うつわをめぐる冒険!自分のこころに素直に従い、進む道

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プロフィール
くわばら・れいこ/新潟県出身。農園スタッフ兼ギャラリー主宰。地元でOLをしていたとき訪れた陶器の産地、栃木県の益子町でうつわにめざめ、同町に移り住む。3年後の2010年に新潟にUターンし、うつわを取り扱う店「桑原商店」をオープンする。ほどなくして起きた東日本大震災が、人生を見つめ直すきっかけになる。思うところあって店を閉じ、長野県佐久市(旧望月町)へ再移住。 有機農家のゆい自然農園 で働くかたわら、うつわの展覧会「旅するギャラリー」を各地で開催する二足のわらじ。

ひょんなことからたどり着いたけど、居心地は最高

さまざまな野菜がパッチワークのように植わっている。ここはとうもろこし畑。

― 佐久市に来るまで農業は未経験ですよね。慣れないことで大変さはありませんか。

桑原さん :やってみるまでは重労働のイメージがあったのですが、少なくとも私は、そういう風には感じていません。仕事というより、生きることの本質に触れているような感覚で、それは喜びに近いです。おいしい野菜の見分け方や、一番おいしい食べ方もわかって嬉しいし、毎日畑に行くのが楽しみなくらい。なんの不満もありませんね。家族経営のゆい農園に受け入れてもらったのは幸運でした。

― ゆい農園さんとのご縁で2度目の移住を。

桑原さん :いえ、こうしてお話しすると行き当たりばったりなのがバレますが(笑)、震災の2ヶ月ほど後に、以前よりうわさに聞いていたYUSHI CAFEを訪れたのがきっかけです。
空間のすべてにグッときました。私たちの世代に響くしつらえや雰囲気を持ちながら、近所のおじいちゃん、おばあちゃんが集う場になっている。そんな場所を知らなかったので衝撃でしたね。これからはこういう時代なんじゃないかと思いました。狭い中で多くを求めずまわしてゆく世界。大好きなコーヒーもおいしいし、「近所にこのお店がある人生がいい」と思ってしまったんです。

「おうちみたい」にリラックスできるという、YUSHI CAFEで。

― 益子に続いて、再び運命の出会い。夢中になるタイプなんですものね(笑)。

桑原さん :はい(笑)。以来、新潟から毎月来てましたからね。

― 通いつめて、いよいよ移住を決める。

桑原さん :決めました。YUSHI CAFEはもちろんのこと、周辺に農家が多いところにも惹かれました。温泉にもひょいと行けるし、地元の季節の食材を使った素晴らしいお蕎麦屋さんもある。なにより、循環していると実感できる環境であることに、なんともいえない安心感をおぼえました。ゆい農園も、その後YUSHI CAFEのつながりで働けることになったんですよ。ここへ来て本当に良かったと思っています。

うつわを通して伝えてゆきたいことがある

― 決断が直感的であったとしても、新しい土地で基盤をつくってゆかなくてはならない点では同じですから、立派だと思います。うつわのお仕事も、続けているのですものね。

桑原さん :うつわの仕事は、どんな形であっても手放さずにいたいと思っていました。お店を持たずしてどうしようか考えた結果、いろんな縁でつながった知り合いのお店のスペースを借り、作家さんの作品を展覧会スタイルで紹介することを思いつきました。「旅するギャラリー」と名づけ、第一回はYUSHI CAFEで開催させてもらいました。

「旅するギャラリー」の様子。会場設営も大事な仕事だという。

YUSHI CAFEのアイドル、常連のあやちゃんの、お茶目なピースに大笑い。

― 手応えはいかがですか。

桑原さん :いいですね。展覧会は作家さんに喜ばれるし、私にとっても、つくり手とのコミュニケーションがとても勉強になります。長野県内のほか、東京や、新潟などでも開催しています。

― うつわへの情熱は健在なのですね。

桑原さん :それはもう。うつわを好きになったことで、そして仕事にしたことで、私の人生は豊かになりました。深くうつわを知ることを通して、暮らしの知恵の素晴らしさや、人間らしい文化を学んだからです。私は、食べ物の良さを活かせる、食卓に根づくうつわが好きです。特別な外食もいいけれど、自然に感謝しながら調理して、自分の箸と飯椀で食べる以上に幸せなことはありません。それをリアリティを持って伝えたいという思いが、自分の手で食べ物をつくるところから取り組みたいと、考えた出発点でもありますから。

桑原玲子さんの生きるヒント『ものを選ぶ感覚を磨く』ものを選ぶ感覚を磨くことは、豊かになるチャンスにつながると思うのです。手近なコンビニで、なにげに買い物をする。消費する。なかなか立ち止まって考える習慣がないけれど、ものの調達手段はひとつではないはずだし、選択の基準にしても、それが自分や世の中のためになるのか、少しでも見直すことで、より人間らしく生きられるのではないかと思います。私もかつては、ものに溢れる都会に憧れました。でも今は、自然に対して敬意を払う場面が日常にない環境を怖いと感じます。経済の成り立ちや発展に違和感を感じたとき、きちんと意思を持ってものを選ぶことが、飲み込まれず、文化を守るためのスキルになるのではないでしょうか。


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