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- まつき・かずひろ/長崎県出身。 株式会社ビオファームまつき 代表取締役。ホテル学校卒業後、レストランサービスの道に進む。渡仏してパリのニッコー・ド・パリに勤務した後、東京で銀座のフランス料理支配人を経て、恵比寿の「タイユヴァン・ロブション」の第一給仕長に。その道を極めるも有機農業の道に進むことを決意するに至り、農業研修後、静岡県芝川町(現富士宮市)に移住。現在は4ヘクタールの畑で野菜作りを行っている。こだわりの農作物の価値を高めるべく、野菜セットの宅配からオリジナルの加工品の販売までを手がけ、さらには、野菜惣菜店、レストランもオープンさせる。
― 松木さんのところの野菜は、都心の自然食屋さんでも扱われていますね。こうして立派なレストランも経営されています。農業をビジネスにしようと、いつしか考えるようになられた。
松木さん :そうなんです。田舎で暮らしたいというイメージしかなかったような人間ですから、最初は、暮らしていけさえすればいいと思っていました。作った野菜も、自分たちで食べるほかは、縁のある人に分ける程度で。それが次第に面白くなってきたんですよ。
― どんなところに面白さを感じたのでしょう。
松木さん :もともと食への関心は人一倍ありますから、農作物としての美味しさを追求するのも、できたものをどう調理するか考えるのも、楽しかったんです。自分の畑で作った野菜を使って、まずは総菜屋を始めたのですが、農協に売ったら50円の野菜が、1,000円になったりするんですよ。しかも「美味しいね」って喜んでもらえるなら、そりゃあ嬉しいじゃないですか。
― それは嬉しい、と思います。
松木さん :それに、直接お客さんと接していると、この総菜が人気だから、次はこの野菜をもっとたくさん作ろう!と、マーケティングも一緒にできちゃう。生産と消費の現場を両方持つって、面白いぞと思いました。相互にフィードバックできますからね。
― 松木さんのキャリアが、ここで生きてくるんですね。
松木さん :なんとなくそういう流れに(笑)。ずっと農家をやっている、私の親世代の人たちにはよく、「農業なんて儲からないこと、わざわざ都会から来てよくやるね」って言われたんです。彼らの子どもたちは、自分の家の田んぼの大きさも知らないぐらい農業と離れている。農業には未来がないというのが定説のようになっていて、継ぐ人は減る一方。私は外からきた人間で、都会で食に携わっていたからこそ、別の見方ができたんです。
― 違うぞ、農業には未来があるぞと。
松木さん :暗い話ばかりなのは、農業が悪いからではなく、やり方が悪いんだと思いました。これはまさに自分のキャリアがそう言わせるのだと思うのですが、見方を変えれば、農業もサービス業。農家自身が、マーケットをちゃんと見て、付加価値つけて、いわゆる六次産業化 ※ していくことができれば、これは十分に可能性のある分野だろうと。
― 田舎でスローライフのつもりだったのが、燃えてきたんですね。
松木さん :不思議なものですね。ビジネスモデルができないと、日本で誰も農業をやらなくなってしまう、自分たちがビジネスモデルをつくらないといけない。そんな使命感も生まれました。会社としてきちんと成り立たせて、若い人たちが、生業(なりわい)としての農業に、夢を持てるようにしたい。今は本気でそう思っています。
※第一次産業である農水産業が、食品の加工や販売、関連するサービスなど、資源を活かして経営の多角化をはかること。
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