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- おかだ・りょうた/奈良県出身。大人が手を焼く子どもだったが、国立の中高一貫校に進み、中学から続けた水泳によりスポーツ推薦枠で大学に進学。大学卒業後は証券会社に就職するも、上司からの理不尽な扱いや現金至上主義への疑問が膨らむばかりであったため、7ヶ月でサラリーマン生活に見切りをつける。農業を志し農家を巡るが、向いていないと感じて放浪の旅に。いつしか飲食店の魅力に取りつかれ、自分の店を持とうと決意。京都市の有名イタリア料理店で働いて努力とセンスが認められる。香川県の離島で出会った現在の妻と共に京都府南山城村に移住し、2014年に小さなカフェを開店。地元の食材を使った料理が評判に。 front Facebookページ
― イタリア料理店でスキルを高めることに打ち込みながら、次のステップを考えていったんですね。
岡田さん :結婚して、子どもが生まれて、僕も妻も田舎で暮らしたいという気持ちがありました。田舎なら店を持つハードルが下がるということもありますし、東日本大震災のあとも変わらない都会の日常に違和感を感じたことも影響しています。どこに住もうかいろいろと探した結果、ここになりました。いろいろ探した割に、結局は妻のフィーリングで決まった感じです。
― 京都唯一の村、南山城村。
岡田さん :はい。ここはものづくり系のアーティストが多く移住している土地です。僕はそれほど場所に思い入れるタイプでもないのですが、住みやすくて良いところだと思っています。
― 移住してきてからお店を始めるまで、1年くらいブランクがありますね。
岡田さん :たいした貯えもないまま引っ越して来て、年金や保険の支払いに追われてしまい、慌てて工場に働きに出たんです。その傍らで、自宅の隣にあった農機具小屋をコツコツ改装してゆきました。
― このお店、全部自分でなさったんですか。
岡田さん :電気とガス以外のことは全部自分でやりました。
― とっても居心地がいいです。
岡田さん :ありがとうございます。でも狭すぎて…。お客さんが少ししか入れないのは経営の上でも問題なのですが、キッチンで同時にふたつのことをできなくて、我ながら、よく料理してるなと思います。
― そうか。この規模のキッチンで、全部をやっているのですものね。カフェということですが、お料理は本格的ですし。
岡田さん :いいカッコしいなのかもしれませんけど、こんな、ボロい小屋みたいなところでも、プロフェッショナルだと思われたいんです。料理はもちろん、皿の下げ方ひとつでも、理想のイメージがあって。
― それはとてもすてきなことだと思います。食材は地元のものが中心なんですね。
岡田さん :そうです。あちこちからおいしいものを集めてきて出すのは、都会のレストランに任せておけばいいです。僕は、地元の食材を、誰がどんな思いでどんなふうにつくっているかを知った上で、さらに、なぜこの料理なのかをきちんと説明できるということにこだわりたい。
― 誰がどんな思いで。
岡田さん :はい。こだわりのある生産者さんなら、結果的にオーガニックであることが多いです。だけども僕は、食材がオーガニックであるかどうかより、なぜオーガニックなのか、どんな思いでつくったのかのほうを大事にしています。それを説明できるということもまた、提供する者としての責任として大事にしたい。
― 途中まで、感情や直感の赴くままに生きていらしたような印象を持っていたのですが、だんだん変わってきました。ものごとに理由を求めるし、嘘がつけない分、自分に厳しいというか、潔癖というか。
岡田さん :その見立ては合ってると思います。「自分に厳しい」って、周囲にはよく言われますね。あと、「めんどくさい」と(笑)。自分でもめんどくさいですよね、妥協できないし、だから楽に生きられない。まぁ、楽しんではいますけどね。
― めんどくさいご自分とつき合いながら、これからも料理の道を?
岡田さん :そうですね、料理をするのも好きですが、実は自らシェフは名乗っていません。料理は、店の全体の演出の中で、もちろん大きなウェイトを占めるけど、僕は料理以外の部分もやりたいんです。
― なるほど。お客さんは、口コミが多いですか?
岡田さん :口コミで、リピーターさんが多いです。というより、それだけです。看板もないような、こんな小屋ですから。
― でも、遠くから食事のためにだけに来る方も多いのではないですか。
岡田さん :そうなんですよね。都市部からわざわざ。で、「安い」と言われます。
― はい、ジビエを使ったパスタなんて贅沢なのに、ランチセットで1,600円。安いと思います。
岡田さん :値段設定は地元を意識したんですけれど、お客さんは圧倒的に都会の人で、あんまり「安い」と言われると、なんだか損した気分になります(笑)。
― あはは。アットホームな雰囲気なので、岡田さんと話し込んで長居するお客さんも多いのではないですか。
岡田さん :いや、自分が話しすぎるので帰っちゃいます。ははは。それを含め(笑)、料理をつくって出すのも全部、“ライブ感”があるのがいいなと思っているんです。勤めていたイタリア料理店のシェフのスタイルがそうでしたね。人間味ある人柄が表れるような、見ていてライブ感あふれる料理のしかたをしてました。僕も、そこは意識するようにしています。
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