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2020/4/20
お金の大切さ、お金の使い方をどう学ぶ? 子どもに教えたいお金の仕組み
いま、子どものお金教育が注目されています。10歳頃までにお金の大切さを学んでおくことが、その先のお金との上手な付き合い方につながるそうです。一方で、お金の話はタブー視される一面もあり、教え方がわからないというお父さん、お母さんもいらっしゃるのではないでしょうか? 今回は、子どものお金教育の経験が豊富な「キッズ・マネー・ステーション」の八木陽子さんのワークショップに、9歳のきさちゃんとお母さんが参加。子どもと一緒に読みながらお金について学べる、ワークショップ形式でお届けします。
お金って、そもそもなんだろう?
お金って、なんだろう?
その答えを探るために、まずは、お金がどうやったら手に入るかを考えてみましょう。
お金は、お父さんやお母さんが、がんばってお仕事をしてもらっているものです。
仕事をして、誰かの役に立って、感謝されたしるしとしてもらえるものが、お金です。つまり、お金は、“ありがとう”のしるしなのです。
「お金の話をするのは恥ずかしい」「お金の話は人にはしてはいけない」と思っているかもしれませんが、お金は身近で、大切な存在です。今回は、親子で一緒にお金のことを考えてみましょう。
レッスン1 自由に使えるお金について考えてみよう
あるところに、太郎くんという10歳の男の子がいました。ほしいものがたくさんある太郎くんは、いつも大人のことをうらやましく思っています。「お金がいっぱい使えていいな」って。そこで、魔法使いが現れて、太郎くんを子どもの心を持ったまま、大人になる魔法をかけました。
大人になった太郎くんは「これで好きなものが買えるぞ!」と大喜びです。一生懸命仕事をして、今月は22万円のお給料をもらいました。「22万円で何を買おうかな」とルンルンです。
きさちゃん
ぜんぶ使っちゃうと、ダメなんじゃないかな。他に使うお金がなくなってしまうから。
そうだよね。じつはお給料には、最初に引かれるお金があります。それは税金(ぜいきん)と社会保険(しゃかいほけん)のお金です。
税金は、道路や学校をつくるために使われるお金です。社会保険は、歳をとって働けなくなった人や病気で働けない人を助けるためのお金。国の大きな貯金箱に、働いているお父さん、お母さんがお金を払って貯めています。
太郎くんは、税金と社会保険で4万5千円を引かれ、17万5千円のお給料を手にしました。では、どれくらい好きなものに使って良いと思いますか?
※ワークショップでは22万円のお金のサンプルから、生活に必要なお金を保護者の方に渡していきます。ご家庭でも手作りのお金などでぜひ実践してみてください。
きさちゃん
う〜ん……好きなものに使っていいお金は、4分の1くらいかな?
そう、やっぱり全部使うと、ダメだよね。来月のお給料をもらうまで、毎日の食事代が 必要です。住むためのお家のお金もかかります。電気やガスの料金も支払いますよね。
習い事や塾、文房具や本にかかるお金も必要かもしれません。生活に必要なお金を引くと、いくらになるでしょう?
お給料 | 22万円 | |
引かれるお金 | 税金・社会保険 | 4万5千円 |
生活に必要なお金 | 食費 | 5万2千円 |
家賃 | 6万円 | |
電気・ガス・水道 | 1万5千円 | |
教育費(1人) | 2万7千円 | |
残ったお金 | 2万1千円 |
※総務省・文部科学省の統計データに基づいた金額をベースとしています。
きさちゃん
残りのお金が2万1千円になっちゃった!
ほかにもスマートフォン代や洋服代だって必要ですよね。太郎くんも驚いて、「大人って、こんなに大変なんだ」と気づき、おこづかいを大事に使おうと思いました。
レッスン2 おこづかいの3つのルールとは?
魔法で大人になった太郎くんのお話をしましたが、じつはおこづかいの使い方も同じ考え方です。今回は、おこづかいについて、大切なルールを3つ紹介します。
●ルール1:必要なものとほしいものを区別する
太郎くんが生活費のためにお金をとっておいたように、必要なもの、買わないといけないもののお金は、分けてとっておくこと。そうしないと後で困ってしまいますよね。これは大人も子どもも同じです。
●ルール2:使う前に「かにあじ」チェック
自分がほしいもの、どうしても買いたいものはありますか?
きさちゃん
私はテニスの道具をいろいろ買いたい。将来はテニスの選手になることが目標なの!
買いたいものがあるときに、覚えておいてほしい言葉が「かにあじ」です。
「かわりのものをつくれないかな?」
「にたようなものがないかな?」
「あきてしまわないかな?」
「じゅんばんを考えよう!(もっと大事なことはないかな?)」
この4つをチェックしてみると、買いものが上手にできるようになります。
●ルール3:使うことも大切
お金の世界には、「お金は使ってはじめて豊かになる」という言葉があります。じつは、上手にお金を使うことも、大事なことなのです。毎月のおこづかいを何に使うかを考えてみましょう。少し高価なものを買うために、毎月少しずつお金を貯めることもおすすめです。
レッスン3 おこづかい契約書をつくってみよう
おこづかいの3つのルールをふまえて、1年に1回、おうちの方と「おこづかい契約書」をつくってみましょう。ポイントは、1ヵ月のおこづかいを「自分のために使うお金」「人のために使うお金」「貯めるお金(貯金)」に分けて決めておくことです。
<おこづかい契約書の項目>(例)
①おこづかいの中から自分で買うものは?
②1ヵ月のおこづかいの金額は?
・自分のために使うお金
・人のために使うお金
・貯めるお金(ちょきん)
・合計のお金
③おこづかいの日
④おてつだいはなにをするか、いつするか
⑤お約束 報告の方法 など
ここに「人のために使うお金」が入っているのは、自分以外の人を幸せにするお金についても考えてほしいからです。
きさちゃん
お友だちの誕生日プレゼントにつかうお金とか?
そうだね。おじいちゃんやおばあちゃんにお花を贈るお金や、寄付をするお金などもここに入ります。
お母さん
うちは、お年玉で1年間のおこづかいをまとめて渡して、管理しています。
その場合は、12ヵ月で割って、毎月の使い道を考えてみてください。
おこづかいの中から買うものも明確にしておきましょう。うちにも、小学4年生の子どもがいますが、学校で使う文房具もおこづかいの中から買うルールにしています。そうすると、ものを大事に使ってくれます。
契約書に沿ってやりくりしてみて、上手くいかなければ半年ごとに見直してみても良いですね。
お母さん
姉妹でも、貯める派と使う派で個性があるようです。使いすぎるのも困るし、使わないのも困るので、正しい使い方を促すべきか迷っています。
少し背中を押してあげると良いかもしれません。すぐに使ってしまう子には、貯めておくとより高価なものが買えること、貯め込む子には、使ってはじめて豊かになることを教えて、買ったら「良いものが買えたね」と声をかけるなどしてみてください。
お母さん
ちょうどお金に興味を持ちはじめた時期だったので、今日はとてもためになりました。お金のことは必ず必要になる知識なので、このタイミングで学ぶことができてよかったです。
きさちゃん
お父さん、お母さんがお給料をもらっても、自由に使えるお金が少なかったことに、びっくりしました。だから、お金は大事に使いたいと思います。
おうちの方へ 子どものお金教育が大切な理由とは?
人生100年時代と言われる今、私たちの寿命は延びる一方で、年金が充分に出る保障もなく、お金は自分で運用・管理していく時代となっています。
また、キャッシュレス化が進み、電子マネーやスマートフォン決済を使うだけでなく、顔などの生体認証で買いものができる時代も近いといわれています。今後、お金が目に見えないものになれば、その重みの実感がわかなくなるリスクもあります。
だから、子どものうちからお金の仕組みや大切さを知っておくことが大事なのです。
まずは、今回ご紹介したような「お金とは?」という基本的な話から、おこづかいのルールなど、親子で気軽に話し合ってみてください。10歳までにできれば、ベストです。
小学校の高学年から中学生になると、コミュニケーションを取るのが少し難しい年代に入ります。その前に「お金は、お父さんとお母さんが働いてもらっている大事なもの」ということを知っておいてほしいのです。
最近は、大人より子どもの方がスマートフォンを使いこなし、いろいろなサービスを利用するスキルが高いこともあります。あるご家庭では、「知らないうちに、子どもがフリマアプリで家のものを売って、おこづかいにしていた」というお話もありました。他にもゲームなどの課金で高額請求されたり、友だちに大金をおごったりといった話もよく耳にします。こうしたお金のトラブルも、親子でお金の大切さについて話せる土壌があれば減らすことができるでしょう。
お金は、子どもの 夢を叶えるためのツール
「子どもの夢や目標を叶えてあげたい」それはきっと、すべてのお父さん、お母さんの願いではないでしょうか。自分の好きなこと、やりたいことのためにお金を貯めて、使うことも自己実現の1つ。これから子どもが自らの人生を切り開いていく過程で、お金の大切さを知り、上手に付き合っていくスキルは必ず役に立ちます。まずは今回ご紹介した記事を参考に、お金について親子で話し合うことから始めてみませんか。

<教えてくれた先生>
キッズ・マネー・ステーション代表 八木 陽子(やぎ ようこ)先生
上智大学外国語学部卒後、編集者を経て2001年ファイナンシャルプランナーを取得。2005年からお金養育・キャリ教育を普及する「キッズ・マネー・ステーション」を主宰。ファイナンシャルプランナーとしての18年以上の仕事実績と二児の母としての消費者の視点から、「お金」「キャリア」を伝える。著書や監修本に「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)、「お金は子どもに預けなさい」(経済界)、「おさいふのかみさま」(フレーベル館)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。日本テレビ「ZIP!」やNHK「ウワサの保護者会」に出演、ベネッセ・コーポレーションの会員誌などメディア出演も多数。
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