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病と付き合いながら、自分の人生を
“深刻にならず、真剣に考える”

M.Nさん

東京都在住
M.N
さん [44歳]

PROFILE
医療・介護・教育関連事業を束ねる大企業で活躍するさなか、2度の大病に。現在は同会社傘下のビジネス専門学校で事務や広報活動を中心に行いながら、病気療養を続けている。

脳出血に心筋炎……2度の大病から奇跡の生還

 私はこれまでに2度大きな病気にかかり、病院のお世話になっています。最初は2011年8月。脳出血で倒れてしまい、救急車で運ばれて一命をとりとめました。その後、療養期間を経た2012年5月に、今度は心筋炎にかかり、心肺停止の状態で救急病院に運ばれました。後で聞いたのですが、運ばれる途中で意識を失って、救急車の中で8回救命処置を試みても心臓が動かなかったそうです。意識を取り戻したのは5日後。その間のことは一切記憶にないのですが、本当に今こうして生きているのは奇跡だそうで、そのとき呼び集められた家族は、医師から「覚悟してください」と伝えられていたようです。今も緊急時に周囲の人に助けを求めるためのメッセージ・カードを常に携帯しています。
 病気で倒れてから、家族はもちろんですが、日本の医療界に本当に感謝しなければいけない、自分の命は本当に大切にしなければならない、ということを実感しています。

もちろん入院時は、共済金にもお世話になりましたね。一時期は職を離れていたので、生活をしていく上で助かりました。

自分の体を顧みない、仕事漬けの日々。周囲のアドバイスに耳を貸すべきだった

 30代以降はほとんど、仕事が趣味、というような生活だったんです。いろいろな方とお付き合いをさせていただいて、とても充実していたんですよね。倒れた当時は合弁企業に出向中だったのですが、他の会社から同じように集まった方は、みなさん大手企業のやり手の方ばかり。刺激的で、すごく楽しい環境だったので、自分の体のことなんてまったく顧みなかった。脳出血で最初に倒れたとき、実は体重が100kg近くありました。

 好きなものを好きなだけ食べて、運動とも無縁。職場の同じフロアにケアマネージャーの方がいて、「少しは歩いたほうがいいんじゃない?」なんてアドバイスも受けていながら、何もしていませんでした。血圧の薬も出されていたのに、ちょっと体に合わなかったと言っては飲まなかったり。当時の私は少し調子に乗っていたのかもしれません。

周囲の方々の力を借りて、以前の気持ちを取り戻すことができた

 退院した直後は、予想以上に精神的なダメージも大きくて、『自分は病気なんだから仕方ない』という勘違いをしていました。重い病気にかかった方の中には、結構こういう考えをしてしまう方って多いのではないでしょうか。『なんで自分が』『自分はもう健常者ではないんだ』という考えから、些細なことにイライラしてしまって。今思い返すと自分が本当に情けないです。いろいろな人に迷惑もかけてしまったと思います。今はようやくそんな状態も落ち着きました。それは、やはり、周囲の方々の力添えのおかげで仕事に復帰できた、というのが大きいかもしれません。

 脳出血で最初に倒れた直後、こんな状態で、以前のように現場の第一線で仕事を続けていくのはやはり難しいだろうと考えまして、自営業でも始めようと、退職したんです。でも、そんな矢先にウイルスによる心臓の病気で再び倒れてしまって……。自営業は諦めざるを得ませんでした。どうしようかと考えているところへ、前の職場でお世話になった先輩に声をかけていただき、以前勤めていた会社の系列会社である現在の職場で、事務の非常勤として勤務できることになったんです。

支えてくれた人、お世話になった人へ。まだ、うまく伝えきれない感謝の気持ち

 それでも、情けないことに、お世話になった方々に私から連絡することをまだ避けてしまっているんです。それは、会うときっと、まだ自分の状態を悲観してしまうというか……。実は友人たちにも、病気のことを教えたのは1人だけなんです。同い年の友人の中には、すでに会社役員になっている人もいる。でも私は、病気をした時点でそういった出世とはまったく関係のない人間になってしまった。そんな理由で、病気になった自分を恥ずかしいと思ってしまっている部分もあるのだと思います。でも、そんな中でも、私は自分自身が生きていくための“道”を見つけなければならないんです。
 お世話になった方々へ、本当の意味でお礼の気持ちを伝えきれるのは、私が今後、仕事を通して社会に貢献できるようになったときに実現することではないかと思います。それも自己満足だということはわかっているのですが。

 今後、教育業界で自分ができる範囲で仕事をしていけたらと思い始めたところです。今は、自分の今後について、「深刻にならずに、真剣に考えていこう」という気持ちになれました。むやみに悲観して、深刻になってしまうと、よくない方向へ行ってしまう。
 そうではなく、“真剣に”考えることが大切なんだと思います。そのことは、自分に言い聞かせると同時に同じような境遇になった方にもぜひ言いたいこと。この場を借りて、そのことが伝わればいいなと思います。

編集後記

 人生は自分にとって常にベストな状況が用意されているわけではない。そんな当たり前のことを、日頃つい忘れてしまっているのを改めて思いました。たとえどんな状況に陥ったとしても、生きるためには希望が必要で、それは他の誰でもない、自分自身で生き方を模索する中でしか見出すことはできません。「人生を深刻にならず、真剣に考えること」。私自身も自分に言い聞かせるとともに、多くの人に知ってほしい言葉だと感じます。