こくみん共済 coop の公式ホームページお問い合わせ全国の窓口関東統括本部 公式ストーリー保障は“転ばぬ先の杖”。仕事と趣味を充実させながら、心を豊かに過ごしたい。

保障は“転ばぬ先の杖”。
仕事と趣味を充実させながら、心を豊かに過ごしたい。

樫村 誠(かしむら まこと)さん

茨城県在住
樫村 誠
(かしむら まこと)さん[80歳]

PROFILE
6人兄弟の長男として生まれる。中学校を卒業後、父親の仕事を継いで紳士服の仕立て職人の道に進み、28歳で独立・開業。以来、オーダーメイドの服を作り続けている。現在は奥様の恭子さん(写真左)とふたり暮らし。趣味は油絵。

東日本大震災で妻が大やけど。余震の恐怖も忘れて病院へ

 私が紳士服の仕立て職人として独立したのは28歳のときです。中学校を卒業して、水戸市の百貨店の洋服部で修行を積んでから今の店を持ちました。
 全労済の保障は、当時所属していた業界団体の労働組合の人に薦められて加入しました。独立によって会社のサポートがなくなり、すべてを自分で対応しなければならない立場になりましたから「災害や事故などの万一の備えはきちんとしておこう」という気持ちがありました。以降、80歳になる今日までお世話になっています。
 東日本大震災があった3月11日は、店で仕事をしていました。
 体験したことのない大きな揺れに恐怖を感じて、作業机の下にもぐりこみ、揺れがおさまるのを待っていると、突然隣の部屋から妻の悲鳴が聞こえてきました。
 驚いて様子を見に行くと、苦しそうな声をあげている妻のそばで、ストーブの上に乗せてあったヤカンが倒れていました。ストーブの火を消そうと近づいたときにヤカンが倒れてきて、中に入っていた熱湯を足に浴びてしまったようなのです。
 すぐに風呂場に連れて行き、洗面器に水を入れて足を冷やさせました。家は揺れていましたが、怖がっている場合ではありませんでした。それから私の車で近所の病院に連れて行きました。
 大きな地震の後にもかかわらず病院は開いていて、すぐに治療してもらうことができました。その日のうちに帰宅できましたが、それでも全治2ヵ月の大やけどでした。
 テレビのニュースなどを見て、東北地方を中心に各地で大きな被害が出ていることを知りました。さいわいにも私の家は入口のタイルがひび割れていたくらいでしたから、運が良かったのでしょうね。
 それから2日間くらい水道水が使えない日が続きましたが、ここでも私の家は運が良くて、たまたま井戸の自家水道を併用していたので、飲料水は自家水道でまかなうことができたのです。
 そのため、ごくごく近所の人たちにではありますが、水道が使えなくて困っている人たちに生活用水として利用してもらうなど、できる範囲の手助けをしました。
 現在、わが家の井戸は、断水が起きたときに近所の方に使ってもらえるように、水戸市の「災害時生活用水協力井戸」に登録されています。

ありがたかった「見舞金」。全労済のていねいな対応に感謝する

 自宅の被害は大きなものではなかったので「この程度なら保障してもらうまでもないだろう」と全労済には連絡せずにいました。
 しかし、震災から3ヵ月もせずに、全労済の担当者が訪問されて「震災で被害を受けたところはありませんか?」というので、タイルのひび割れた部分をお見せすると「ほかの場所にも被害があるかもしれませんね」と、家の周囲をていねいに調査してくれたのです。
 このときに、共済金とは別に、「見舞金(地震等災害見舞金)」があることを知りました。書類の手続きも簡単で、すぐにお金を振り込んでいただきました。ありがたかったですね。
 全労済は“転ばぬ先の杖”だとあらためて感じたできごとでした。

油絵の魅力は無心になれること。感動を表現して自分だけの1枚を描く

 朝起きて、6時30分にテレビの放送に合わせてラジオ体操をしています。それから朝食を食べて、仕事場で朝から夕方まで仕事をします。仕事は週5日、だいたい1週間くらいかけて上下1着のスーツを仕上げます。若いころは、ズル休みしたいと思ったこともありましたけれど(笑)。今は働くことがいちばんの生きがいであり、癒しになっていますね。
 とはいえ、仕事ばかりの人生も味気ないと思い、70歳から油絵をはじめました。
 中学生のころに描いた絵が、県のコンクールで最優秀賞を受賞して以来、いつかきちんと習ってみたいと思っていて、市内のカルチャースクールで学び直しました。
 油絵は水彩画と違い、重ね塗りで表現するので、絵が乾くのに時間がかかります。その分、制作する時間も長くなりますから、作品と無心で向き合う楽しさがあります。
 静物、人物、風景など、いろいろな絵にチャレンジしてきましたが、いずれも見たままを描くのではなく、見たときの感動を込めるようにしています。色を変えてみる、大きさをオーバーに表現してみるなど、感動を表現することで自分の感性が反映された、オリジナリティが生まれます。服の仕立てにも通じるものがあり、想像力を養うトレーニングにもなっていますね。
 市のコンクールに出品して受賞した作品もあります。たくさん描き過ぎて、絵を置く場所がなくなってきまして、今では店の中にも置くようになりました。黙認してくれている妻には感謝したいですね(笑)。
 いつか描いてみたいのは、偕楽園(※)の日本庭園です。春夏秋冬でまったく違った景色が楽しめる場所なので、その感動をキャンバスに表現できたら、と思っています。

  • 偕楽園(かいらくえん)……茨城県水戸市にある日本庭園。金沢市の「兼六園」、岡山市の「後楽園」に並ぶ、日本三名園の1つに数えられる。

編集後記

 好きな言葉は「一期一会」という樫村さん。オーダーメイドで服を作るときは正確な採寸や裁断はもちろん、お客さんの好みを知る必要もあるため、医者の問診と同じ要領でコミュニケーションをとると言います。プロフェッショナルの矜持を感じると同時に、震災を無事に乗り越え、今なお続く人との出会いを大切にされている様子が強く伝わってきました。