震災を乗り越えて。
69歳の今もなお、挑戦し続ける毎日。

小林 利幸さん

栃木県在住
小林 利幸
さん [69歳]

PROFILE
青果業を営みながら、1日約2時間の読書、スポーツジムでのフィットネスや卓球、そして蕎麦打ちなど、たくさんの趣味に打ち込む毎日。友人達と30年間以上、ボランティアも続けており、充実した日々を過ごしている。

もう二度と体験したくない。生まれて初めての大地震

 これまで69年の人生を振り返ると、私は20歳のときに虫垂炎になったくらいで、幸いとても健康体です。妻も3人の娘も大きな病気はありません。家族ができて、死亡保障やがん保障に加入していますけど、事故や病気で入院でもしないと保障されませんから、これまで加入することのメリットは、実感としてはありませんでした。

 全労済の火災共済に加入したきっかけは、あまり覚えておりません。なにしろずいぶん昔のことで。掛金が手頃なので、「火災共済や自然災害共済も一応加入しておこうか」くらいのつもりだったと思います。でも、あの震災の時「加入しておいて本当に良かった」と実感したことは、はっきりと記憶に残っています。
 東日本大震災では、かつて経験したことのない強い揺れを感じました。私の住む地域は震度6強で、もう立ってはいられないほどです。家にいた私は、ペットのヨークシャテリアを急いで抱きかかえて、外へ逃げました。すると、動物の本能で危険を察したのか、私に抱きついて離れませんでしたね。
 3人の娘は独立して宇都宮を離れていたし、妻は旅行で新潟におりました。自宅には私だけだったので、とにかくペットだけを連れて逃げたんです。
 外は電柱もグラグラと揺れるほどで、しゃがみながら歩いて空き地まで向かうと、地域の人たちも集まってきました。余震もありましたし、またいつ大きな揺れが襲ってくるかわかりません。結局その日は空き地にクルマを移動させ、車内で一泊しました。
 翌日家に戻ると、屋根瓦はほとんど落ちていて、室内はあらゆる物が散乱し、土足でないと中に入れないほどでした。しかも茶の間は床板が割れ、底が抜けたような状態です。
「これが我が家か。手の施しようがないな」と、愕然としたものです。

驚くほどスムーズだった全労済の対応。
気持ちだけはすぐに立て直すことができた

 当時、電気や水は一時的にストップして、いつものような食事の用意はできませんでしたが、水は備蓄していたので事なきを得ました。2~3日後には、ある程度片付いて家で過ごせるようになり、全労済に連絡をしました。
 すると、非常に素早く対応してくれました。東北地方はあのような状況になっているので、とても忙しかったはず。それでも3月24日には調査員の方が調査をしてくれました。認定は「半壊」となり、なんと31日には共済金が振り込まれました。
 共済金の支払いまでがとてもスムーズだったので、気持ちもすぐに立て直すことができたし、早速家の修繕にとりかかれました。ただ、やはり家を建て直したり修繕したりする人が多く、大工さんも大忙しで人手不足のようでした。屋根の修繕を始められたのが8月、室内の修繕は12月に入ってからで、作業が完了したのは12月26日でした。屋根や茶の間などを中心に、壁にひびなども入りましたが、損壊部分の95%は共済金で修繕することができ、非常に助かりました。「備えあれば憂いなし」とは、よく言ったものです。本当にその通りだと思いました。年間2万円ほどの掛金で、こんなにも大きな保障がいただけるなんて、感謝の気持ちでいっぱいです。

これまでも、これからも宇都宮。大好きな鬼怒川とともに

 私は、生まれも育ちも、そして今も宇都宮市。鬼怒川がそばにあって、自然が豊かなこの土地に愛着があります。
 約40年前に、当時の地元の友人や先輩、後輩など30人くらいで、「道草会」という同好会を結成しました。この会は、「道草でもしながら、一生付き合っていこうよ」という思いで結成したもの。鬼怒川の河川敷の清掃活動をしたり、カンナという、春から11月ころまで咲く花を植えて栽培を行ったりと、ボランティアを行っています。この会は40年経った今もなお続いています。みんなでただ集まって酒ばかり飲んでいたら、この会自体、存続していなかったかもしれません。おそらく「いつまでも自分たちを育んでくれた大好きな鬼怒川とともに」という気持ちがあるからこそ、強い絆で結ばれ、とてもいい友好関係を築けているのだと思います。

生涯現役。健康でいる限り、いつまでもチャレンジを忘れない

 仕事は青果業で、以前は店舗で野菜を売っていました。今は規模を縮小し、早朝の市場で競り落とした野菜を学校に届け終えると、午前中には仕事が終わります。
 実は、そうして作った時間で、ボランティアのほかにも熱中して継続するたくさんのことを楽しんでいるんです。
 まずは、毎朝仕事の前に行う読書。3時に起きて、5時くらいまで読みます。サスペンス、ファンタジー、歴史小説、さまざまなジャンルや著者の作品を読むのが好き。そのほうが飽きずに楽しめるんです。毎日日記をつけているのですが、次から次へと本を読むので、内容を忘れないように、感想を日記につけています。本を開くと、頭の中でドラマが始まりますよね。本当に楽しくて、「年間120冊読破」を目標にしています。
 月・水・金と週3回はスポーツクラブで汗を流し、水曜日の夜には卓球を初心者の方に教え、木曜日は自分の練習です。試合にもたまに出ています。試合ならではの緊張感がたまりません。

 あとは、「蕎麦打ち」。もともと蕎麦好きが高じて、市民センターで開催していた蕎麦打ち講座に参加したことがきっかけです。あるとき、その講座で、介護施設などで私が打った蕎麦を食べていただくことがありました。すると皆さんから「おいしい」とものすごく喜んでもらえたことが快感になりました。昨年、蕎麦打ち段位2段に認定されました。これからも、さらに腕を磨きたいですね。
 好きな言葉は「挑戦」。常に何か目標を持ち、無理せず健康を保ちながら、トライし続けますよ。
 ただ、今こうして目標を持って元気に暮らせているのも、保障のおかげかもしれません。もし自然災害共済に加入していなかったら、まだ家の修繕に追われていたと思いますし、加入していなかったらと思うとぞっとします。災害や病気は突然身に降りかかってきますから、万一のときのための保障は大切ですね。

編集後記

 日記には、達筆な字で毎日の出来事や思い、そして趣味の読書感想文が書かれていました。日々自分の暮らしを見つめ、精力的に活動し、常に挑戦を忘れない小林さん。「健康だからこそできること」とおっしゃいましたが、そのバイタリティが健康の源なのではないかと感じました。