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個人型確定拠出年金(iDeCo)の改正で変わること(約5分で読めます)
2022/4/28 配信
「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」の成立により、個人型確定拠出年金(以下、「iDeCo」という)が段階的に改正されます。2022年度の改正について、主なポイントを確認してみましょう。
■2022年4月改正(受給開始の上限年齢の延長)
2022年4月から公的年金制度の受給開始時期の選択肢の拡大に併せて、iDeCoの老齢給付金の受給開始時期も従来の上限である70歳から75歳に延長されました。改正後は、要件を満たしていれば60歳から75歳までの間で受給開始時期を選択できます。これは企業型確定拠出年金(以下、「企業型DC」という)でも同様です。
■2022年5月改正(加入可能年齢などの拡大)
iDeCoに加入できる人が拡大されます。改正前、下記(a)~(c)に該当する人はiDeCoに加入できませんでしたが、改正後は国民年金の被保険者で原則65歳未満であればiDeCoに加入できるようになります。
(a)会社員や公務員等(国民年金の第2号被保険者)で
60歳以上65歳未満の人
(b)国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満の人
(c)海外に居住していて国民年金に任意加入している人
ただし、老齢基礎年金の受給権がある人やiDeCoの老齢給付金を受給している(受給したことがある)人などはiDeCoに加入(再加入)できません。
なお、企業型DCでは、加入可能年齢が65歳未満から70歳未満に拡大されます。
■2022年10月改正(企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和)
現在、企業型DCに加入している人がiDeCoに加入するには、労使合意に基づく規約の定め等が必要となるため、個人が希望しただけでは加入できません。改正により、規約の定めなどが不要となるため、企業型DCに加入している人は原則としてiDeCoに加入できるようになります。
ただし、企業型DCに加入していて加入者掛金を拠出(マッチング拠出)している人などは、iDeCoに加入できません。
注意したいのは、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金の合計額に上限が決められている点です。企業型DCに加入している人がiDeCoに加入する場合、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金を合計して毎月55,000円を超えることができません。
<企業型DCに加入している人がiDeCoに加入する場合の掛金の上限額>
(1)企業型DCの事業主掛金:月額55,000円以内
(2)iDeCoの掛金:月額20,000円以内
(1)+(2):月額55,000円以内
同じように、企業型DCと確定給付型年金に加入している人がiDeCoに加入する場合、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金を合計して毎月27,500円を超えることができません。
<企業型DCと確定給付型年金に加入している人がiDeCoに加入する場合の掛金の上限額>
(1)企業型DCの事業主掛金:月額27,500円以内
(2)iDeCoの掛金:月額12,000円以内
(1)+(2):月額27,500円以内
現役世代の人口が減少する中で老後の収入を公的年金制度だけに頼るのではなく、自分だけの個人年金を持てると将来の安心感はアップするでしょう。国はiDeCoに加入しやすい環境整備を進めていて、ご紹介したポイント以外にもいくつか改正が控えています。
iDeCoに加入している人も加入していない人も、自分や家族のライフプランニングにあわせた老後資金について、定期的に点検してみるとよいでしょう。
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