日本は他の国と比べてボランティアへの参加率が低いと言われている。 たしかにボランティアのはじめ方がわからないという日本人は多いと感じるし、かくいう私もそのひとりだ。

私たち日本人は、ボランティアとどう付き合っているのだろう? データを用いて現状を紐解き、より気軽に「たすけあい」をするための方法を考えてみた。

すると、ボランティアの存在がグッと近くなり楽しみになった。思っていた以上にボランティアは身近で多様なものだったのだ。

まず内閣府による『市民の社会貢献に対する実態調査』の平成28年度版を見ると、過去1年の間にボランティアに参加している人は17.4%にとどまっている。

▲出典:内閣府『市民の社会貢献に対する実態調査』

では日本人はボランティアに興味がないのだろうか? 同じく内閣府がまとめた平成30年度版の『社会意識に対する世論調査』によると、日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと「思っている」と答えた人は63.6%にのぼっている。

▲出典:内閣府『社会意識に対する世論調査』

また『市民の社会貢献に対する実態調査』ではボランティアの参加理由として、「社会の役に立ちたいと思ったから」という声が47.7%とトップになっている。

▲出典:内閣府『市民の社会貢献に対する実態調査』

ボランティア活動をした人の約半数は社会の役に立ちたいと思って参加している。一方で、社会の役に立ちたいと考える多くの人がボランティアに参加していない状況だ。
これはどういう理由があるのだろう。前述の『市民の社会貢献に対する実態調査』ではボランティア参加の妨げとなる要因もアンケートを取っている。その調査結果によると、「参加する時間がない」が53.8%、「ボランティア活動に関する十分な情報がない」が39.8%となっている。

▲出典:内閣府『市民の社会貢献に対する実態調査』

これらのデータから、ボランティアに興味のある人は多いものの、ボランティア活動は「時間がかかる」「どこでどのようにできるかわからない」とハードルを感じている人が多いのではないか、と私は推測する。

「日本人は、ボランティアのはじめ方がわからないだけなのでは?」

私は最初の一歩が難しいのだと思う。ボランティアというと、なにかものすごく大変なことをしなきゃいけないと思ってしまう自分がいる。すると、どこから手をつけたらいいのかわからなくなってしまう。でも、 ボランティアはもっと身近で気軽にできるものだ。

『市民の社会貢献に関する実態調査』では、過去1年間にボランティアへ参加した人たちが、どのような分野で活動していたかを調査している。その結果を見て、ボランティアの多彩さに驚いた。子ども・青少年育成から、まちづくりや保健・医療・福祉、芸術・文化・スポーツなど、様々なたすけあいのカタチがある。

▲出典:内閣府『市民の社会貢献に対する実態調査』

ニュースを見ていると災害支援や東京オリンピックのボランティアなど大規模な活動の話題がどうしても目立つ。そのイメージから、ボランティアは移動が大変、体力を使う、休みが必要と、自分の中でハードルをあげてしまっているのかもしれない。『ボランティア』はもっと身近で多様だ。誰かのたすけになりたいという気持ちの表し方は、自分に合った方法でいい。私は「ボランティアってそんなにしたことないなあ」と思っていたけれど、たすけあいの多様性を知って振り返ると、お祭りや市民マラソンでのお手伝いなど、意外と参加してきたことに気づいた。

参加してきたボランティアは、通っていた学校や会社での縁がはじまりだった。先生や先輩が誘ってくれたのだ。きっかけは意外と近くにある。
たとえば、地元や住んでいる地域でボランティアを探してみる。サッカーが好きな人は、子どもにサッカーを教えるボランティアを探してみるのもいいかもしれない。料理を日ごろしている人や裁縫が得意な人は、近所で福祉系のボランティアを募集しているかもしれない。英語を勉強している人は国際交流のボランティアもある。

私はインターネットで検索しているうちに、自分に合ったボランティアに出会うコツを見つけた。「ボランティア」というワードで検索をすると、思った以上にボランティアの種類は多岐にわたり、なかなか「これなら私も楽しめるし、お役に立てそう!」と思えるものに出合いにくい。そこで、行きたいごはん屋さんをスマホで探すときのように、ちょっと検索ワードを足して絞り込むのがポイントだ。

「ボランティア 子ども 〇〇町」

「ボランティア 国際交流 英語 東京」

すると、自分にとって参加しやすいボランティアを紹介しているNPO団体のホームページなどがいろいろ出てくる。はじめの一歩が踏み出せたら、きっとボランティアはもっと日本人にとって身近になるはず。

ちなみに私は、今住んでいる東京の方南町という町が気に入っている。この町でボランティア活動をしている人たちと知り合って、これからなにかお手伝いができればいいなあと考えているところだ。今までは誘われて参加することが多かったけれど、これからは今ある縁を大切にして、自分からボランティアに関わっていきたい。あたらしく縁をつくることもできるけれど、気づいたらつながっている縁を見つけることも大事だ。

ボランティアとひとくくりにすると、どこから手をつけていいかわからなくなる。でも少しのぞいてみると、近くで気軽にできる小さなたすけあいが見つかる。まずは自分の得意なことや身近なところ、周りの縁から、ボランティアをはじめてみるといいのかもしれない。

<参考サイト>
日本全国、海外のボランティア情報が集まっているサイトをご紹介します。
ぜひ、お住まいの地域のボランティアや興味のある活動を探してみてくださいね。
Yahoo!ボランティア 2019年12月6日時点
ボランティアプラットフォーム 2019年12月6日時点

<参考文献>
内閣府(2017)「平成28年度 市民の社会貢献に対する実態調査」 2019年12月6日時点
内閣府(2019)「平成30年度 社会意識に対する世論調査」2019年12月6日時点