3月11日のストーリー

自分自身を守れるから、たすけあえる!
「自助」と「共助」の両輪で災害に克つ

※ 掲載内容は2021年3月の取材時点ものです。
※ 感染症対策のため、取材はリモートで実施しました。
吉松 浩志(よしまつ ひろし)さん
埼玉県在住
吉松 浩志(よしまつ ひろし)さん

PROFILE

鉄道会社に勤務し、震災当時は助役として事務室にいた。妻、息子、娘の4人家族。

東日本大震災の経験から、「自助」と「共助」の思いをより一層強くした吉松浩志さん。「備蓄専用倉庫を用意する」など、家族とともに取り組んでいる一歩進んだ備え方について教えていただきました。

3.11は助役として駅に勤務
乗客を守ることで精一杯だった……

「今まで経験した地震とはワケが違うーー」

駅の助役として、数名の駅員とともに事務室にいた私は、揺れが発生した瞬間、そう直感しました。最初に「ドスン」と大きな縦揺れがあり、その後、横揺れが「これでもか」と続いて止まりませんでした。事務室のモニターが落ちそうだったので、必死に押さえていたのを覚えています。

揺れが落ち着き、まずしたことは、駅構内のお客さまの安全を守ることでした。「ただいま、大きな地震が発生しています。皆さま、速やかに外へ避難してください」とアナウンスし、避難を促しました。地震発生時に走行中だった電車は、最寄り駅まで徐行してストップ。運行管理所から、「本日はこれ以降、電車の運転は行わない」と通達がありました。

吉松 浩志(よしまつ ひろし)さん

この日、私はちょうど「泊まり勤務」で、翌朝まで駅で勤務していました。しかし、電車がストップしているために交代の社員が出勤できず、11日の勤務者はそのまま翌日も勤務することになりました。みんな家族や家の状況が心配な中、駅員として責任感を持ち職務をまっとうしてくれて……。駅の責任者として、本当に頼りになる仲間たちだと思いました。

自宅の倒壊はまぬがれたもののバルコニーや壁紙にダメージが

妻と電話で連絡が取れ、中学生の長男、小学生の長女の無事もわかっていたので、家族のことについては安心していました。12日の昼頃に電車が動き出し、ようやく自宅に帰ることができ、被害状況を確認したところ、大きなダメージを受けていました。

2階にある木製バルコニーは、全体的にゆがみや接続部にゆるみがあり、バルコニーの上に出るとやや不安定な状態でした。雨樋にも、ゆがみや接合部の外れ、部分的な破損がありました。テレビアンテナも曲がったり外れたりしてしまい、一時的にテレビが見れない状態でした。他にも、室内の壁紙にひび割れが入ったり、カーポートの支柱が傾いてしまいました。

建物外部の被害に対し、室内の被害は少なく済みました。というのも、建築士の兄から受けたアドバイスを参考にしながら、自分なりに勉強し、地震へ備えていたからです。

例えば、物が落ちてくる可能性があるので、棚やタンスの上などには極力物を置かない。大きな家具や家電には転倒防止シールなどで対策をする。食器棚は飛び出し防止装置をつけるなどです。家の中での対策以外には、数日分の非常食、飲料水を備蓄しています。

共済金のおかげで修繕費をカバー
心遣いも感じられてありがたかった

所属している鉄道会社の労働組合をとおして、こくみん共済 coop の団体生命共済に加入していたので、共済は身近な存在でした。「たすけあい」という理念への共感や、先輩の勧めもあって火災共済に加えて自然災害共済に加入しており、そのおかげで震災時も共済金を受け取ることができ、家屋の修繕費に充てられました。

被害状況の調査時には、こくみん共済 coop の調査員の方に、破損した箇所をひとつずつ案内していきました。無事、保障がおりるのか不安はありましたが、調査員の方はマニュアル的な対応はせず、私たち被災者の立場に寄りそって対応を行ってくれました。その真摯な対応に安心しましたし、生活再建に向けた不安が少し軽くなったような気がしました。

手続きで面倒なことは一切なく、振り込みまでもスムーズで助かりました。「掛けていて正解だった」と、妻と一緒に安堵したことを覚えています。

震災後も数々の災害に遭遇
そのたびに共済への信頼感が高まる

我が家は、震災以降も自然災害に遭っています。2013年には熊谷市内で竜巻がありました。そして2014年の「平成26年豪雪」と呼ばれる大雪では、なんとカーポートが2台とも、車とともにつぶれてしまいました。その時は自然災害共済の種類が「標準タイプ」だったため、保障の対象外でした。そこでこれを機に「大型タイプ」に切り替えることにしました。

その後も、いくつかの災害に見舞われましたが、いずれも、共済金のおかげで修繕することができましたし、こくみん共済 coop の方がいつも丁寧かつ迅速に対応してくれるので、信頼感が高まりました。

震災の経験をふまえ、備えを強化
共助のためにはまず自助が大切

東日本大震災が起きてから数ヵ月後、非常食や飲料水などの備蓄専用に組み立て式の倉庫を購入しました。以前は3、4日くらいの備えがあればよいとされていましたが、自然災害が増え、規模も大きくなっている昨今では、自分や家族が最低限生活できるよう「1週間分の備えは確保すべき」とされています。そこで、ガスコンロやガスボンベ、キャンプ用品なども備えるようになり、倉庫を拡充しました。

最近では、長男のアイデアで停電時用の発電機を購入して備えました。震災時は中学生だった彼も今では社会人となり、防災意識が高く、心強く感じています。

震災を経験した今、我が家では「“たすけあい”はまず、“個”がしっかりすべき」というモットーを掲げています。自分に余裕があって初めて他者を助けることができますし、一人一人がそのように備えれば、有事の際に協力しあって良い方向に導くことができるはずです。

吉松 浩志(よしまつ ひろし)さん

「たすけあい」が大切なのは、何も災害に限ったことではありません。職場や家庭、地域などでも同様です。みんなが自分から考え、自分自身を守ることができたら、お互いが困ったときは相手を助けることができ、より良い関係が築けると思うのです。これからも「たすけあい」を心にとめながら、生活したいと思います。

こくみん共済 coop 関東統括本部の取り組みについて

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