#今できるたすけあい
コラム
大学、バイト、就活。会えない日々を「話す」ことでたすけあい、乗り越えていく。
※この記事は2020年5月6日に執筆したものです。
大学4年生になる春。就職活動が本格化する時期。
新型コロナウイルスの影響がこれほどまで広がるとは、思っていませんでした。
大学は休校になり、敷地内に入ることすらできない状況が続きました。
現在、授業はオンラインに切り替わっていますが、ネットの通信環境が整っていない学生も多くいます。大学からの支援もありますが、支給されるのは基準をクリアした一部の学生のみ。十分なサポートとはいえません。
生活面では、アルバイト先が止むを得ず休業や閉店した影響で、シフトに入れない日々。
一人暮らしをしている友人の多くは実家にも帰れず「毎日ギリギリのお金で生活するしかない」と愚痴をこぼしています。
就職活動も、オンライン面接などの慣れない選考に変わったり、選考フローが去年と違ったりして、戸惑いの連続。
業界によっては採用人数の削減など、つらいニュースも舞い込んできます。
「不運」という言葉だけでは言い表せない現実と、
大学生も今、戦っているのです。
先が見えない毎日を、どう生きていけばいいのだろうか……。
そんな不安と葛藤しながらも、
私たちは、たすけあうことで日々を乗り越えています。
私が気付いた「たすけあい」。
それは、
ちゃんと「話す」こと、
そして、
「ヘルプ」に敏感になることです。
なぜそう思ったのか。
1ヵ月ほど前の話です。
***
大学が立ち入り禁止になった3月30日。
私の友人は、第一志望の会社の最終面接でした。
その会社に入りたい! と熱弁する姿を見ていただけに、
彼女が悲しむ姿を私は見たくありませんでした。
しかし次の日、
「だめだったかも……電話がこない」
と連絡が。直接会えていたら……そんなことを思いながら私は、
「そっか……だいじょうぶ?」
としか、返信できませんでした。
数日後、今度は私が第一志望の会社に落ちてしまいました。
「あ、こんなにつらいんだ」
自分が当事者になって初めて、この気持ちの重さに気づきました。
それと同時に、
「あのとき、彼女の『ヘルプ』に全然気づいてあげられなかった」と反省しました。
もっと、話を聞いてあげればよかった。
直接会えないからこそ、もっと敏感に気づいてあげるべきだった、と。
そんな気持ちで、
「私も、落ちちゃった」
そう彼女に連絡すると、すぐに「テレビ電話する?」と返事をくれました。
接続されるやいなや、
「一生懸命頑張っていたこと、私はすっごい分かってるから!!」
そう言って、朝まで付き合ってくれました。
友達の大切さなんてとっくの昔からわかっていたけど、
改めて、本当に改めて、素敵な友人がいてよかったと思いました。
私が彼女にしてもらったように、今度は私が誰かの「ヘルプ」に気づき、話を聞いてあげたいと思いました。
そしてそのとき、
その子が一番欲しい言葉をかけてあげたいです。
***
新型コロナウイルスの影響で、直接コミュニケーションをとることが難しい。
こんな状況だからこそ、こまめに連絡をする、たまにはテレビ電話をしてみる、
そんなふうに、ちゃんと人と「話す」時間を作ることが大切だと思います。
そうすることで、相手がつらくてどうしようもないとき「ヘルプ」に気づくことができる。
これは就職活動だけではなく、どんなことにも共通するはずです。
学校や職場にいれば、誰かと会えるし誰かと話せる。
そんな当たり前の毎日がなくなってしまった今、
ちゃんと「話す」ことが、いかに「たすけあい」になっていたかと実感します。
自分から「ヘルプ」を出すのは、なかなか勇気がいることです。
だからこそ、その「ヘルプ」にすぐ気づけるよう、大切な人とはこまめに連絡をとる。
これが私が気づき、提案したい「たすけあい」です。
遠くに住む家族、友達、同僚、恋人……。
皆さまが大切な人に、1日でも早く会えることを祈って。
おしまい
(写真:藤里一郎 X(旧Twitter)→@shameraman 編集:はつこ)
山下 遥
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