#今できるたすけあい
コラム
国民全員が「たすけて!」な状況だからこそ、まずは己を救おう
※この記事は2020年4月20日に執筆したものです。
外出を自粛しはじめて、1ヵ月以上が経ちました。改めて言うようなことではないのですが、なんていうか、めっちゃ未曾有の事態ですよね。「未曾有」って言葉がこんなに似合う局面もないんじゃないかって思うほど。世界中のあらゆる予言者も、巷にいる「当たりすぎて怖い!」系の占い師も、誰も「ウイルスが流行ってみんな家にいるようになるから、今のうちに体にいい椅子を買っときな!!」と言ってくれなかったせいで、わたしは腰が痛くて仕方がないわけですが、まあそのくらい未曾有ですよね。
しかもさらに未曾有度(?)を高めているのが、国民全員、いや全人類が「たすけて!」な状況であるということ。例えば天災であれば、募金をしたり支援したりと「たすける」側であれる人が、少なからずいる。でも、コロナの場合は? 言うまでもなく、日本国民が全員もれなく、非日常を強いられて「たすけてくれ〜」と叫んでいる。
こう言うと「わたしよりつらい人はたくさんいるので、『たすけて』なんて思わないようにしています……」と考える人もいるでしょう。たしかに、何よりも迅速に支援を必要としている場所はある。経済的に困窮している人がいる。というのは理解しつつも。どんな人であれ、精神的にはみんなたすけてほしいと思っているはず。
だってわたしも、めっちゃたすけてほしいもの。自由に外出できない生活は、知らず知らずに心を蝕んできて、じわじわとストレスが溜まる。経済的な不安も将来の不安も尽きない。そこへ不穏なニュースや悲しいニュースが次々飛び込んできて、SNSでは日々不安を煽る投稿や怒りの声が飛び交っているこの状況。どんどん心が疲れてくるのは、だれにでも起こりうると思うんです。
そんな中、今わたしは、だれをたすけているんだろうって、ちょっと考えてしまいました。もちろんできる範囲で人類をたすけたいと思うから世界一ラクなヒーロー気取りで家にいる。マスクも食料も買い占めないようにしている。でも、正直、余裕はない。仕事がなくならない保証はないし、事実、なくなった仕事も多くある。わたしがビルゲイツあるいは孫正義だったらもっと「たすける」について書けただろう。でも、明日を不安に思うひとのひとりであるわたしにできる「たすけあい」って……?
そうしてわたしに、「なにができるかな」と考えた結果、「誰かをたすけようとおもわずに、まずは自分をたすけよう!」と決意した。まず真っ先に己をたすけようと。こう書くと自己中心的だと思われるかもしれないけれど、これが結果的にいちばん簡単に、すくない負担で、長く続けられる「たすけあい」の一歩だと思うんです。
できる範囲で、こころと体が元気でいられるようにする。持てる余力を使いながら自分をたすけるべく、あれやこれやと策を打つ。
例えばわたしがやっている「自分おたすけ法」は、こんなかんじ。
好きな本を読む、たまに花を買って機嫌を保つ、忙しくてできなかった自炊をがんばる、「支援!」と称して農家さんから美味しい食材を買いあさってサラダを食べるごとに「美人になっちゃうかも」と期待する、かと思えば「いや、ご飯のことばっかり考えて疲れた……」と落ち込む日はデリバリーで済ませたり、仕事をする気になれないつらい日は、どうぶつの森でせっせとお金を稼ぐことでごまかし、たまには外へでて自転車を30分ほど漕ぎ世界が広いことを忘れないようにする。……まあ、こんな小手先テクニックではたすからない日も結構あって、そんな日は「は〜、つら〜。いつまで続くんやこれ〜」と言いながらひたすらに寝転んでいる。
こうやって自分をたすけ続けると、ちょびっと余力を持てるときが不意にやってくるもので。わたしは、その余力で、「どうやって自分をたすけたか」を身近な人に、あるいはSNSでシェアしています。オススメの本を紹介したり、気分転換の方法を紹介したり。
すると、「今ちょうど気が滅入っていたところなので……、やってみます!」「こういう情報が欲しかった」
といった声が返ってきて、すこしは役に立てたようでうれしくなる。もちろん、逆も同じ。SNSで見た料理法を試してみたり、SNSで誰かが作った作品を見たりしては、癒されています。
だからみんなまず、自分をたすけよう。そしてその余力を、だれかに、なにかに、まわしてほしい。方法はなんでもいいし、できるかぎりでいいから。それだけで十分、だれかを救えます。
みんなつらい。だからって、自分がたすかったらいけないわけじゃない。
むしろ「たすける人」が少ない事態だからこそ、積極的に自分をたすけて、そうして誰かをたすける。そのちいさなたすけあいが大きな流れを作ってくれるんじゃないでしょうか。ほら、ビルゲイツでも孫正義でもない人口のほうがうんと多いのだしね。
はやくたすかってください。
とにかく、たすかってください。
(写真提供:夏生さえり 編集:はつこ)
夏生さえり
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