#今できるたすけあい
コラム
誰かを変える前に、誰かを知ることから。
※この記事は2020年4月30日に執筆したものです。
初めまして。
フリーでライター、マーケターなどの活動をしている女子大生のくつざわと申します。
緊急事態宣言が出た今、幸い私はオンラインで完結する仕事が多かったので大打撃というほどではありませんが、私の2人の家族である母と兄は、それぞれ飲食店経営者と医療従事者なので、相当な打撃を受けています。
「補償が出るまでの間だけ」と言いながら働く基礎疾患持ちの母。朝から仕事に出る兄。
在宅ワークで済む私は、そんな家族を見ていると心苦しくなります。
私に手だすけできることは、世帯収入を上げるために働くことだったり、家事だったり、それくらいしかない。それでも、家族とたすけあうことで精一杯なのが本音です。
「たすけるったって、誰かをたすける余裕がない」
そんな人が今の世の中にあふれていると思います。
そこで私は「たすける」のハードルを下げることで、できることがあると考えました。人だすけって、実は簡単に出来てしまうのです。
「たすけあいって難しい」と感じるのは、誰かに「プラスを与えよう」と考えるからかもしれません。でも、「マイナスを生まない」こともたすけあい。むしろそれこそが、今、一人一人にできるたすけあいなのだと思います。
今現実に起こっていることを交えながら説明します。
私の兄は薬剤師です。いつも明るくふざけている兄ですが、ここ最近はやはり仕事での負担がかなり大きいようで、先日私に「なんで頑張っているのに怒られるんだろう」と、言ってきました。
朝からマスクを求め長蛇の列を作る方に、マスクがない事実を伝えると「嘘をつくな、どうせ隠している」と怒鳴られたり、警察を呼ばれることもあったようです。
もちろん隠している事実なんてありませんし、店側もいつ入荷するかわからない状況です。
世間に目を移しても、若者と高齢者の意見対立、経営を続ける店舗への乱暴な張り紙、医療現場で働く人に対する差別的行為。
人が人に棘を持って接してしまう事例が各所で上がっています。目に見えないものの恐怖というのは、感染だけではないのかもしれません。
なぜこのようなことが起こってしまっているか、それは相互理解が生まれていないから。
人間は、理解しがたいものが生活に介入すると、自分の「正しい」へ変えようとします。
物事に二面性がある限り、自分にとって理解しがたいものが存在するのは当たり前のことですが、それを突として変えようとするのは少々手荒ではないでしょうか。
誰かが「プラス」だと思う言動は誰かの「マイナス」になります。
なぜ営業を続けねばならないのか、なぜ出勤しなくてはいけないのか、なぜ過度な不安を抱く人がいるのか。自分の「正しい」で誰かを変えようとする前に、少しだけ思考を巡らせてみませんか。
私は誰を擁護するわけでも、批判をするわけでもありません。それはどの意見にも理由があり、正しい側面を持っているから。
ただ、自分の「正しい」で誰かのマイナスを生んではいけません。
建設的な意見と暴力は、異なるものです。今だからこそ、いつも以上に想像力を持って人と接してほしいと思います。
誰かを変える前に、誰かを知ることから。
そうすれば、誰かの元に生まれるはずだったマイナスが、たった一人の知る努力で無くなることになります。
素敵なお店に貼られようとしていた一枚の乱暴な張り紙が無くなるなら、それは立派な「人だすけ」ですよね。
マイナスを生まないこと、誰かをたすけることって、ちょっとした意識でできます。
今このときを乗り越えるために、一人一人が思いやれる世の中になりますように。
(写真:くつざわ 編集:はつこ)
くつざわ
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