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#1
「診察料100万円です。」
―それ、世界ではリアル。
神様でも解けない。医療の不可能問題。
高熱でフラフラになりながら病院にたどり着く。
ようやく診てもらえると思ったその瞬間、
「診察は来週になります。」と言われたら。
「治療費は100万円です。」と告げられたら。
さすがに笑えない。
けれど、世界に目を向ければ、それに近い現実と向き合っている国は少なくない。
医療制度には有名な考え方がある。
それが「医療の鉄の三角形(アイアン・トライアングル)」だ。

医療制度を評価する軸は、大きく3つ。
・医療の質
・利用しやすさ(アクセス)
・コストの安さ
しかし、この3つを同時に最高レベルで実現するのは極めて難しい。
質を上げればお金がかかる。
利用しやすくすれば財源が必要になる。
コストを抑えれば、どこかにしわ寄せが生まれる。
つまり医療制度とは、国家による巨大なバランスゲームなのだ。
では、その答えは国によってどう違うのだろうか。
アメリカ、イギリス、日本。
それぞれが選んだ医療のかたちを見てみよう。
#2
医療界のファーストクラス、
その搭乗券は高額だ。
アメリカという
「自己責任型ハイエンド医療」

アメリカと聞くと、自由競争や挑戦の国を思い浮かべる人も多いだろう。
医療制度も、その思想を色濃く映している。
世界最先端の医療技術。
トップレベルの専門医。
革新的な治療法。
お金さえあれば、世界最高水準の医療にアクセスできる。
まさに“医療界のファーストクラス”だ。
一方で、国民全員を対象とした医療保障制度はない。
高齢者向けのメディケアや低所得者向けのメディケイドは存在するものの、多くの人は勤務先の保険や民間保険に頼る。
つまり、「良い医療」はある。
ただし、「誰でも使える」わけではない。
年間の医療費は世界最高水準。
その質は圧倒的だが、同時に高額な負担という代償を伴う。
最高性能のスポーツカーのように、
維持費まで含めて手にできる人は限られる。
それがアメリカの医療だ。
#3
今日つらい。
でも、診察は数ヵ月後?
イギリス、「無料」の代償

一方のイギリス。
こちらはまったく違う思想で医療制度を設計している。
中心にあるのはNHS(国民保健サービス)。
財源は税金。
国民は原則として低負担、あるいは無料で医療を受けられる。
病院の窓口で財布を開く必要がほとんどない。
これはかなり魅力的だ。
しかも医療の質も一定水準以上を維持している。
ところが、その裏側で大きな課題がある。
「待つこと」だ。
専門医の診察や治療まで数ヵ月待ちというケースも珍しくない。
いくら無料でも、具合が悪い今この瞬間に診てもらえない。
その不安は決して小さくない。
コストを抑え、多くの人へ公平に提供する。
その代わりに発生するのが、待機時間という見えないコストだ。
イギリスは、まさにその難しさと向き合っている。
#4
実は日本、かなり強い。
“そこそこ全部できる”は、
世界ではかなり難しい

日本の医療制度の主役は、
言うまでもなく国民皆保険制度だ。
私たちは生まれてから、
ごく自然にその仕組みの中で暮らしている。
だから、その価値を見落としがちだ。
病院に行けば診てもらえる。
必要な薬が手に入る。
先進的な医療も受けられる。
そして窓口負担は原則1〜3割。
世界で見ると、これは決して当たり前ではない。
さらに日本には「高額療養費制度」がある。
たとえ高額な治療を受けても、
自己負担額には上限が設けられている。
もしもの大病が、そのまま人生の破綻に直結しにくい仕組みになっているのだ。
もちろん課題もある。
地域による医療格差。
医師不足。そして高齢化による医療費の増加。
決して完璧ではない。
それでも、「質」「アクセス」「コスト」の3つを高いレベルでバランスさせている国は、世界を見渡しても決して多くない。
日本の医療制度が持つ本当の価値は、
この絶妙な均衡にある。
#5
私たちは、
安心に慣れ過ぎている。
国民皆保険という
“最強のデフォルト設定”
朝起きて、
「今日も医療制度が機能していてよかった。」
と思う人はいない。
空気のように当たり前だからだ。
しかし、この“当たり前”こそが実はすごい。
行動経済学には「デフォルト効果」という考え方がある。
人は最初から用意されている選択肢を受け入れやすい。
ノーベル経済学賞受賞者リチャード・セイラーが提唱したナッジ理論でも知られる考え方だ。
「デフォルト」を使ったナッジの例
例1.臓器提供カード
- 臓器提供カードにおいて、
デフォルト設定を「承諾」に
例2. 男性の育休
- 「何も申請しなければ育休を
取得する」ということを
デフォルト化
日本では誰もが公的医療保険が用意されている
したがって、特別な手続きをしなくても、医療にアクセスできる。
高額な治療費に人生を脅かされる可能性も大幅に低減されている。
つまり、日本の国民皆保険制度そのものが、「安心」のデフォルト設定なのだ。
世界で見れば、とても贅沢な環境と言える。
#6
最強の制度にも、
すき間はある。
公的保障の、その先。
ただし忘れてはいけない。
日本の医療制度は万能ではない。
高額療養費制度があっても、自己負担は発生する。
場合によっては月に10万円前後の支出になることもある。
さらに入院や療養が長引けば、収入減少という問題も出てくる。
病気は、治療費だけの話ではなく、暮らし全体に影響する。
だからこそ、公的保障を土台にしながら、その不足部分をどう備えるかが大切になる。
「あっと」の医療保障は、まさにその発想から生まれている。公的保障を理解したうえで不足部分に合理的に備えられ、しかもWEBですべて完結する。
医療制度が支える安心と、自分で備える安心。
その両方が揃ったとき、私たちは、もっと軽やかに未来へ踏み出せるのかもしれない。
スッキリポイント
Sukkiri Point
日本の国民皆保険は
世界的に見ても合理的
- 医療制度は「質・利用のしやすさ・コスト」をすべて最高にすることが難しい
- アメリカは質が高いが、医療費負担も世界最高クラス
- イギリスは低コストだが、待機医療が大きな課題
- 日本は3つの要素を高いレベルでバランスさせている
- 国民皆保険は“安心のデフォルト設定”として機能している
- それでも自己負担や収入減少リスクは存在する
- 公的保障を理解し、不足分を共済や保障で補うことが合理的な備えになる