国崎先生の
ショートコラム

10月号(No.2)

アソベ・マナベのススメ
~体験で心を強くしよう~

災害が発生すれば未曽有の被害に大人だけでなく子どももひどく心が傷つきます。

国内や海外の被災地で、子どもの心を癒す活動をしてきたなかで、最近おもうことがあります。それは、「心のケアは日常から」ということです。

どういうことかというと、これまでにどのような体験をしてきたかが災害時の困難への対処や乗り越えようとする気持ちに影響するということです。平時から様々な経験を通じて心を鍛えておくことが災害時への備えとして重要だとつくづく思うのです。

たとえば、屋外でテントの布一枚、しかもごつごつした床で寝たことのある子どもと、ふかふかのお布団以外に寝た経験のない子どもでは、避難所の体育館の床に寝ることへの抵抗感が全く違います。「まだまし」と思えるのか、それともここで寝ることを「みじめ」に感じるか、それが被災生活でのストレスや心の傷に影響してきます。当然「みじめ」に感じた方が、寝つきも悪く眠りも浅いことから日中をボーっと過ごしてしまいがちです。ぐっすり寝られれば、翌日はアクティブに活動できるので心の傷の回復に寄与するのです。

トイレも同様に、様々な仕様のトイレを躊躇なく使用できれば災害時の苦労もぐっと減ります。このように不便や困難を楽しさに変換できる子ども特有の感覚を引き出して、災害時を乗り越える強い心に育ててほしいと思います。自然に入らなければ自然や自然災害を知ることはできませんから、子どもの時代に体験すべき大切な遊びや学びの機会をたくさん作ってあげましょう。