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不妊治療と仕事の両立のために(約6分で読めます)
2025/12/29配信
仕事を大切にしている人は多いものの、仕事のみに全力を注ぐことができる人ばかりではないでしょう。個人を取り巻く環境が変化する中で、仕事だけでなく育児や介護などとの両立に悩んでいる人は多いはずです。特に、不妊治療をしながら仕事を続けることには周囲の理解不足などもあり、苦労することが多いようです。
■不妊治療と仕事の両立の難しさ
国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によれば、不妊の検査や治療を受けたことのある夫婦の割合は22.7%(2021年)で約4.4組に1組いるとされています。また、結婚5年未満の夫婦の6.7%が不妊の検査・治療を受けています。数字だけを見れば、一般的な職場には該当する人が1人以上は在籍していると考えておくのがよさそうです。もし、そのことに気付きにくいということであれば、「不妊治療に関して積極的に周囲に話す必要はない」と考える人が多いからなのでしょう。別の調査結果では、不妊治療をしている人のおよそ半数は、「職場に一切伝えていない(伝えない予定)」と回答しています(厚生労働省「令和5年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」、以後の調査結果も同様)。
不妊治療と仕事の両立の難しさは、体調や体力面での負担が大きいこと、精神面での負担が大きいこと、通院や治療の日程と仕事の日程調整が難しいことなど多岐にわたります。不妊治療をしたことがある(または予定している)人の中で、仕事との両立ができずに離職を選択した人は10.9%で約10人に1人います。優秀な人材の確保が難しくなっている昨今、この数字は決して小さなものではありません。
■国からの助成金制度(両立支援等助成金)
大企業であれば、不妊治療をサポートする制度が充実している可能性がありますが、中小企業ではそうもいきません。不妊治療を行っている労働者が受けることができる支援制度等を準備していない企業は73.5%と多数を占めています。国はこの課題を解決するために、2025年度から中小企業に対して不妊治療等の女性の健康課題に対応する両立支援等助成金のコースを開始しています。同コースでは、不妊治療・月経(月経前症候群を含む)・更年期に関して、労働者が利用可能な両立支援制度の環境整備に取り組む中小企業に対して、助成金を支給します。具体的には、中小企業が労働協約または就業規則等を整備して、不妊治療・月経・更年期のときに利用できる休暇制度や時差出勤制度、短時間勤務制度などの支援制度を運用するだけでなく、労働者からの相談に対応する両立支援担当者を選任し、対象労働者が5日(回)以上利用しているなどの要件を満たすときに助成金の対象となります。不妊治療を安心して受けることができる環境を整備することで、労働者にとっては治療の継続率の上昇、企業にとっては職場環境の向上による離職率の抑制が期待できます。
■不妊治療と仕事の両立に向けて
これから不妊治療を考える人は、自分の会社の制度を調べるところから始めてみましょう。前述のとおり、会社によっては不妊治療と仕事の両立支援制度を導入している場合があります。両立支援制度がない場合は、既存の年次有給休暇の制度の中でどのように治療を進めるかを検討することになるでしょう。職場で話しにくいテーマではありますが、人事労務担当者などに相談してみることも考えられます。また、厚生労働省が提供しているものとして「不妊治療連絡カード」があります。労働者が企業に対して不妊治療を伝える手段として使ったり、両立支援制度を利用する際に主治医が記載する証明書として使ったりすることが想定されます。
不妊や不妊治療に関することは非常にセンシティブな情報であり、本人から上司や身近な同僚に伝えている場合であっても十分に配慮されるべき事柄であり、不妊治療と仕事の両立には周囲の理解や配慮が不可欠です。両立支援等助成金の活用などにより、労働者が安心して不妊治療を続けるための選択肢がひとつ増えることで、職場での相談や支援制度の利用が一般化すれば、周囲の理解はさらに深まるでしょう。不妊治療は個人の問題であると同時に、現代社会の課題でもある点を多くの人が共有し、お互いに助け合える環境整備の実現が望まれます。
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