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労働者のスキルアップなどを支援する「教育訓練給付」(約6分で読めます)

2025/9/30配信

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 現代では、経済のグローバル化や技術革新が進み、労働者のスキルアップなどが必要とされています。国は、このような労働者を支援するために「教育訓練給付」(雇用保険)の制度を設けています。

 教育訓練給付では、教育訓練のレベルなどに応じて3種類の教育訓練給付金があり、2025年10月からは教育訓練休暇給付金が新設されます。教育訓練給付の主なポイントを確認しましょう。

 

■教育訓練給付金の概要と3種類の教育訓練

 教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講して修了した際に、受講費用の一部が支給されるものです。教育訓練はレベルなどに応じて、一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の3種類があります。たとえば、一般教育訓練はTOEICや簿記検定の講座など、特定一般教育訓練は短時間のキャリア形成促進プログラム(文化教養関係)の講座など、専門実践教育訓練は法科大学院といった専門職学位の講座などが該当します。対象の教育訓練は約17,000講座とされ、厚生労働省のホームページの「教育訓練講座検索システム」で検索することができます。

 教育訓練給付金の対象となるのは、受講開始日の時点で、原則として雇用保険の加入期間が3年以上ある労働者ですが、初めて教育訓練給付金の支給を受けるときは、雇用保険の加入期間が1年以上(専門実践教育訓練は2年以上)あれば対象となります。仮に離職している場合でも、原則として受講開始日が離職から1年以内であって、雇用保険の加入期間の条件をクリアすれば対象となります。

 

■教育訓練給付金の最大給付率は、20%、50%、80%の3段階

 教育訓練給付金として支給される金額は、受講費用に所定の給付率をかけて計算します。一般教育訓練は受講費用の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練は受講費用の40%(上限20万円)、専門実践教育訓練は受講費用の50%(年間上限40万円)が支給されます。

 このほかに、特定一般教育訓練と専門実践教育訓練には追加給付があります。教育訓練を受講して資格を取得し、修了後1年以内に雇用保険に加入するなどした場合が対象で、特定一般教育訓練は受講費用の10%(上限5万円)、専門実践教育訓練は受講費用の20%(年間上限16万円)が支給されます。さらに、専門実践教育訓練に限っては、もう一つの追加給付があります。教育訓練の開始前後で賃金が5%以上上昇することなどを条件に、受講費用の10%(年間上限8万円)が支給されます。

 結果として、特定一般教育訓練の最大給付率は50%(40%+追加給付10%)、専門実践教育訓練の最大給付率は80%(50%+追加給付20%+追加給付10%)となります。

 

■10月からは、教育訓練休暇給付金が新設

 教育訓練休暇給付金は、雇用保険に加入する65歳未満の労働者(一般被保険者)が、自発的に教育訓練を受けるために、社内制度に基づいて連続30日以上無給の休暇を取得した場合に支給されます。休暇開始前に雇用保険の加入期間が5年以上あることなども条件です。

 支給される日額は、原則として休暇開始前6ヵ月の賃金日額に応じて算定されます。目安として、60歳未満では賃金日額の50から80割、60歳以上65歳未満では賃金日額の45から80の金額です。支給される日数は、雇用保険の加入期間に応じて異なり、5年以上10年未満は90日まで、10年以上20年未満は120日まで、20年以上は150日までとなります。雇用保険の基本手当(失業給付)と同じ算定方法ですので、それに相当する給付とされています。

 教育訓練休暇給付金の支給を受けるためには、労働者が事業主と合意したうえで休暇を取得し、所定の書類を提出するなどの手続が必要です。利用にあたって不明な点があれば、住所地を管轄するハローワークに問い合わせるようにしましょう。

 

 人生100年時代と言われる中、キャリアの途中で新たな知識や資格を身に付けることは、今後の選択肢を広げる大きな武器にもなります。これらの制度をうまく活用し、キャリアの構築につなげていきたいものです。
 

 

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