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働きながら年金をもらうと年金額がカットされる?(約5分で読めます)
2025/4/30配信
会社員が働きながら厚生年金を受け取る場合、年金と給与の合計が一定額を超えると、年金額の一部または全部がカットされます(これを在職老齢年金制度といいます)。ポイントを確認しましょう。
■会社員が受け取るのは、国民年金(基礎年金)と厚生年金
会社員は原則、65歳から国民年金(基礎年金)と厚生年金の両方を受け取ることができます。
国民年金は原則、20歳から60歳になるまでの保険料納付済期間などをもとに年金額が決まります。65歳から受け取る場合、2025年度の満額(月額)は69,308円です。会社員は厚生年金に加入しますが、その期間のうち20歳から60歳になるまでは、国民年金の保険料納付済期間にもなります。たとえば、20歳から60歳になるまで会社員であったり、20歳から大学卒業まで国民年金の保険料を納付し、その後60歳になるまで会社員であったりすれば、国民年金の満額を受け取ることができます。
厚生年金は、加入時の年齢にかかわらず、給与や加入期間などをもとに年金額が決まります。実際には、給与月額は、一定の幅で区分した金額(報酬月額)に当てはめて決定した「標準報酬月額」で、賞与額は1千円未満の端数を切り捨てた「標準賞与額」で計算し、受け取る年金額は加入者ごとに変わります。国民年金と厚生年金のうち、年金額のカットの対象となるのは、厚生年金だけです。
■厚生年金の年金額がカットされる基準は?
年金額がカットされる基準は、「年金月額」、「給与月額」、「1年間の賞与額÷12」の3つの合計が、51万円を超えるかどうかです。51万円を支給停止調整額といい、2025年度の額で通常は毎年変わります。給与月額は「標準報酬月額」、賞与額は「標準賞与額」で計算します。年金額がカットされるかどうかを求めるには、次の算式を用います。
【厚生年金の年金額がカットされるかどうかを求める算式】
・「年金月額」+「その月の標準報酬月額」+「その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12」≦51万円
→年金額のカットなし
・「年金月額」+「その月の標準報酬月額」+「その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12」>51万円
→年金額の一部または全部がカット
次の3つのケースでみてみましょう。
・「年金月額」が10万円、「その月の標準報酬月額」が30万円、「その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12」が10万円
10万円+30万円+10万円=50万円≦51万円
→年金額のカットなし
・「年金月額」が10万円、「その月の標準報酬月額」が34万円、「その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12」が10万円
10万円+34万円+10万円=54万円>51万円
→年金額の一部がカット
超えた額の半分がカットされますので、3万円×1/2=1万5,000円がカットされます(厚生年金の年金月額は8万5,000円になります)。
・「年金月額」が10万円、「その月の標準報酬月額」が44万円、「その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12」が20万円
10万円+44万円+20万円=74万円>51万円
→年金額の全部がカット
超えた額の半分がカットされますので、23万円×1/2=11万5,000円がカットの対象ですが、年金月額は10万円ですので全部がカットされます。
自営業など厚生年金に加入しない働き方であれば年金額はカットされることはありません。その一方で、厚生年金はこうした調整があるものの、65歳以降も加入することが将来の年金額を増やすことにつながります。老後はどのような暮らしをしたいのか、年金を受け取りはじめる前に考えてみたいところです。
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