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自転車運転の新たなルール(約6分で読めます)
2024/11/29配信
自転車が関係する交通事故の増加などもあり、2024年5月に道路交通法が改正され、2024年11月から自転車の交通違反の取り締まりが強化されています。知らなかったでは済まされませんので確認しておきましょう。
■自転車による交通事故の増加
警察庁が公表している統計表によれば、2023年中の自転車関連事故の件数は約72,000件で、3年連続の増加でした。また、全交通事故に占める自転車関連事故の割合は23.5%でこちらは7年連続の増加でした。自転車の運転に免許は必要ないため、交差点で安全確認をしない、一時停止をしない、赤信号でも進入してくるなど、交通ルールを正しく理解せずに自転車を運転している人も見受けられます。
自転車を運転中の事故の相手として圧倒的に多いのが対自動車で77%、対自転車は4.3%、対歩行者は4.4%でした。自転車側が交通ルールを守っていれば防ぐことができた事故もあることから、自転車の交通違反の取締り強化が求められていました。
■改正後の内容
2024年11月1日以降、自転車の危険な運転に対して新たに罰則が適用されます。具体的に取締りの対象となるのは、「運転中のながらスマホ」「酒気帯び運転および幇助(ほうじょ)」です。
【運転中のながらスマホ】
スマートフォンなどを手で保持して、自転車に乗りながら通話する行為、画面を注視する行為が禁止され、罰則は次のとおりです。
違反者:6月以下の懲役または10万円以下の罰金
交通の危険を生じさせた場合:1年以下の懲役または30万円以下の罰金
事故を起こさなかったとしても、「運転中のながらスマホ」だけで刑務所に入る可能性があるということです。自転車の運転中にスマホを使う必要があるときは、安全な場所に停車してからにしましょう。
【酒気帯び運転および幇助】
自転車の酒気帯び運転のほか、酒類の提供や同乗、自転車の提供が禁止され、罰則は次のとおりです。
違反者:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
自転車の提供者:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒類の提供者・同乗者:2年以下の懲役または30万円以下の罰金
自転車の酒気帯び運転が禁止されるのはイメージしやすいと思いますが、見落としてはならないのは、自転車の提供者や酒類の提供者・同乗者にも適用される点です。たとえば、自宅で友人とお酒を飲んだ後に、その友人に自転車を貸してしまうと自分も罰則を受ける可能性があるということです。
■「運転中のながらスマホ」「酒気帯び運転」は自転車運転者講習制度の対象に
自転車運転者講習制度は、自転車の運転中に一定の違反行為(危険行為)を3年以内に2回以上繰り返した人に対して、都道府県の公安委員会が受講を命じるもので、講習では交通ルールや自転車事故の悲惨さについて学びます。改正後は、「運転中のながらスマホ」「酒気帯び運転」が危険行為に追加され、自転車運転者講習制度の対象となります。
■自転車の交通違反にも「青切符」を導入
現在、自動車(原動機付自転車等を含む)に適用されている交通反則通告制度(いわゆる「青切符」)が2026年5月までに自転車にも導入されます。対象者は、16歳以上の自転車運転者です。信号無視や一時不停止、運転中のながらスマホなどのように事故につながる可能性が高い違反は重点的に取締りが行われ、青切符を切られた場合の反則金は5,000円~12,000円程度になると見込まれています。特に悪質性の高い飲酒運転や酒気帯び運転などについては青切符ではなく赤切符が切られ、刑事処分の対象となります。
自転車も「車両」の一つであり、歩行者を死亡させる凶器となってしまうこともあります。罰則の導入や取締りの強化をきっかけに多くの人が交通ルールに関心を持つことで、自転車事故が減少することが期待されます。
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