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労働者を守る!労災保険(労働者災害補償保険)について(約6分で読めます)
2020/01/31 配信
労災保険(労働者災害補償保険)は、会社員などの労働者が、仕事中の災害(業務上災害)や通勤途中の災害(通勤災害)に遭ったときに、労働者を守ってくれる公的な保険制度です。労災保険が適用される主なケースや給付の内容についてみていきましょう。
■労災保険が適用される主なケース
労災保険が適用されるのは、労働者が業務上災害や通勤災害により、負傷、疾病、障がいまたは死亡した場合です。ただし、業務上災害や通勤災害として認められるには、それぞれに一定の基準があります。
【業務上災害の場合】
業務上災害と認められるためには、「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの基準を満たす必要があります。業務遂行性とは、労働契約にもとづいて、労働者が事業主の管理下にある状態のことです。また、業務起因性とは、災害と業務との間に一定の因果関係があることです。
以下に業務上災害として認められるかどうかの判定例を紹介します。ただし、これらの判定は一般的な例であり、実際には個別・具体的に判定されます。
★通常の業務中に怪我などをした場合、例外的な事情がない限り、業務上災害と認められます。
・例1 職場で通常の作業をしているときの怪我→〇
・例2 職場で休憩時間中の運動で怪我→×
・例3 出張先での業務中の怪我→〇
【通勤災害の場合】
通勤とは、住居と働く場所との間を合理的な経路や方法で往復することをいいます。通勤災害として認められるには、負傷、疾病、障がいまたは死亡の原因が通勤にあるかどうかが問われます。ただし、通勤途中で合理的な経路を外れて行動した場合、外れた後の経路で起こった災害は通勤災害とは認められません。
以下に通勤災害として認められるかどうかの判定例を紹介します。ただし、業務上災害の場合と同様にこれらの判定は一般的な例であり、実際には個別・具体的に判定されます。
★通常の通勤経路で怪我などをした場合、例外的な事情がない限り、通勤災害と認められます。合理的な経路から外れた後の怪我などは、通勤災害とは認められません。
・例1 通勤定期を利用し、電車で自宅から通勤しているときの怪我→〇
・例2 会社帰りに友人とお酒を飲んだ後、帰宅途中の怪我→×
・例3 共働きの労働者が、子どもを預けるために保育園に寄る途中の事故による怪我→〇
■労災保険の主な給付の内容
労災保険の主な給付は以下の4つです。
・療養に関する給付
業務上や通勤途中の怪我や病気について治療を受ける際に支給されます。業務上災害により治療を受ける場合には、健康保険などとは異なり、労働者の自己負担額は発生しません。ただし、通勤災害により治療を受ける場合には、原則として初回のみ200円の一部負担額が発生します。
・休業に関する給付
業務上や通勤途中の怪我や病気が原因で休業し、給与が支払われないときに支給されます。休業4日目から支給され、休業1日につき休業前の給与日額の約8割(特別支給分を含む)の額が支給されます。
・障がいに関する給付
障がいの程度によって年金または一時金が支給されます。支給される額は、障がいの程度などによって決まります。
・遺族に対する給付
業務上災害や通勤災害により亡くなった労働者の遺族に対して、年金または一時金が支給されます。支給される額は、遺族の数などによって決まります。
労災保険は、正社員に限らず、アルバイトやパートタイマーなども含めたすべての労働者が原則として加入する制度です。業務上や通勤途中での怪我や病気は誰にでも起こり得るものですので、そのときに困ることのないように、この制度の内容を確認しておきましょう。
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