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今月の「生きるヒント」

今も大事、将来も大事。“お金”を語ろう 今も大事、将来も大事。“お金”を語ろう

その人の価値観をはかるモノサシにされることも多い“お金”。人生に、深くかかわりがある割に、真正面から語られることが少ないのも“お金”です。
誰かのお金観の背景にある経験やエピソードは、いつか自分のそれと重なるかもしれないし、現在の向き合い方を考え直すきっかけになるかもしれません。専門家による経済の話でなく、人それぞれの、お金にまつわるストーリーをお届けします。

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安心を得るには、
貯金よりもスキルアップ

崎谷 実穂さん

さきや・みほ

フリーランス ライター

お茶の水女子大学を卒業後、新卒で入社した人材系企業でコピーライティングなどを、その後転職した広告制作会社では100名以上の著名人・タレントなどの取材を経験。2012年に独立し、ビジネス系の記事、書籍のライティング・編集を中心に、活躍の幅を広げている。
趣味は将棋。親しい友人の間ではオタクな一面も知られている。2017年4月に某大手企業に所属する微生物系研究者と結婚し、ふたりで食べ歩く趣味も追加された。
著書に「ネットの高校、はじめました。」(角川書店)、「Twitter カンバセーション・マーケティング」(日本経済新聞社)他。

十代のころから、「お金は自分で稼ぐもの」

お金を稼ぐということに対しては、十代のころからガツガツしているほうでしたね。自立すべしとの思いが強かったんです。地元札幌では、級友たちが裕福に感じられる進学校で高校生活を送りました。東京での大学在学中も、潤沢なお小遣いを持つ学生を尻目に、仕送りを生活費に充て、学費は奨学金、交際費はバイトで賄っていました。実家からは「余裕はない」と言われていましたし、お金は自分で稼ぐべきだと思っていて。いつか母親が口にした「お金がないと離婚もできないわよ」の呪い言葉も効いたのか(笑)、就活のときに面接で、「稼げるようになりたい」と答えたくらいです。

大企業を志望しなかったのは、自分がやりたいと思える仕事がなかったから。就職してしばらくしてから、大企業と中小企業で福利厚生などに大きな差があることを知り、大企業に入った同級生は堅実な選択をしたな…と思いました。私は「面白そう」というふわっとした動機で、当時人気の就職先だったベンチャー企業に入社して、初任給としてはちょっと多めの25~26万円を受け取りました。ただ、ほかには手当てもボーナスもなかったので、コピーライターの講座を受けたくて組んだ20万円のローンは、心にも重かったです。

お金のある同級生に憎しみを!?

ベンチャー企業、その後の転職先の制作会社では、土日を含めて朝から晩まで働いても残業代はほとんどなし。やりがいはあっても、「この働き方では続けられない」というゆきづまりを感じていました。そのころの私は、実家が裕福だったり、大企業に就職してゆとりある生活を送っていたりする人に対して、羨望をこじらせていたんですよね。その感情はもはや、憎しみといってもよかったかもしれません。そうしたネガティブな気持ちが消えたのは、独立してある程度稼げるようになり、(プリペイドカードの)Suicaに1万円チャージするのをためらわなくなったくらいからでしょうか。それがお金のもたらす効果なのか、稼げているという自己肯定感の効果なのかはわかりません。いずれにしても、平和に暮らせるようになりました(笑)。

なにがうらやましかったのか、あとから考えるに、後ろ盾になる家庭や大きな企業に所属していることで経済面でも守られ、「不安がないこと」だったのだと思います。私より高いものが買えるとか、あちこち行けるからではなくて。やりたいことを棚卸ししてみても、私の場合はさほどお金を必要としないことがほとんどなんです。例えば読書には大金はいらないですよね。派手に遊んだり、セレブのようなバカンスに憧れることはありません。だから、守られている安心感を持てるのがうらやましかったのかなぁと。

やりたいことのため、貧乏覚悟で独立

著書「混ぜる教育」(日経BP社)の出版記念のイベントにて、参加者の皆さんと。椅子に掛けている4名は、左から共著者の柳瀬博一氏、立命館アジア太平洋大学初代学長の坂本和一氏、副学長の今村正治氏、崎谷さん。

2012 年に、本が書けるライターになりたいと、さしたる収入のアテもなくフリーランスになりました。ロールモデルとしている業界の先輩が、一日に食パン一枚という貧乏時代を乗り越えたことを知っていたので、漠然と、そうなることも覚悟しました。軌道に乗るまでに心細い思いはしたものの、幸いにして食パン一枚には至りませんでした。収入に比例して出費を増やすタイプではなかったみたいで、貯金も自然とできるように。でも、計画的な貯蓄はしたことがないかな。家計簿は続かないし…。少し前に確定拠出年金を始めたら、それだけでもう安心してしまいました。継続的に仕事があることのほうが重要だと思いますね。

独立した当初、仕事を引き受けるときの基準はふたつありました。ひとつは、仕事として面白く、ライターとして成長できるかどうか。もう一つは報酬です。両方そろうのがベストですが、いつもそうとは限りません。ただ、だんだん理想に近づいてきている実感があります。これまでの仕事の積み重ねで、興味関心のあるテーマのお仕事を依頼していただけることが増えました。いまは、「やりたい!」と思える仕事だけで生活が成り立つようになり、ありがたい限りです。

パートナーとは別財布でも、毎月収支を開示し合う

2017年の4月に結婚しまして、夫となった人とはそれまでに、家計をどうするか話し合いました。夫婦ごとに取り決めらしきものがあるのだと思いますが、うちは、各々毎月の収支をまとめて開示し合うことにしました。というのも、収入が多いことを理由に自由にしていたら、夫が月に100万円もキャバクラで使っていたことが発覚した夫婦のケースなどを小耳にはさみまして。うちはキャバクラには興味なさそうですが(笑)、別財布なのはいいとして、お互い完全にブラックボックスというのもどうかと思ったんです。

パートナーと、お金に対する感覚に開きがあるときのすり合わせも大事ですよね。高い安いの感じ方も、人によって違うじゃないですか。同じ経済レベルにあっても、たまの贅沢で1万円のディナーに行きたい人と、食に1万円も使いたくない人がいますよね。生活を共にするうえで、お金の使い方についての価値観は近いほうがいい。そこは、結婚相手を決めるときに大事にしたポイントのひとつです。

お金にまつわる10のQ&A お金にまつわる10のQ&A

崎谷実穂さん
  1. Q1.
    お金のことには詳しいほうだ。
  2. Q2.
    「趣味は貯金」に共感する。
  3. Q3.
    「趣味は投資」に共感する。
  4. Q4.
    先のことはわからないからこそ「使う」。
  5. Q5.
    どんぶり勘定の人よりお金に細かい人のほうが信用できる。
  6. Q6.
    100万円と10億円、もらえるなら10億円。
  7. Q7.
    お金の稼ぎ方と使い方、こだわるなら稼ぎ方。
  8. Q8.
    「金は天下の回りもの」に賛同する。
  9. Q9.
    アリとキリギリスならアリタイプ。
  10. Q10.
    お金にまつわる経験から得た教訓や信条をお聞かせください。

    お金自身は善でも悪でもなく、社会の機能として存在するものですよね。自分が車なら、ガソリンみたいなもの。どばっと一気に供給されても積み込んで走るのが大変だし、燃費も大事だし。そして貯金は、使う量よりも稼げばできるという単純なものだから、使う量を抑えるのが苦手な人は、得意な人より稼がないと貯えられません。いろんなダイエット法があっても、結局は消費カロリーが摂取カロリーを上回るしかないのと同じです。私の場合は使う量が概ね安定しているので、収入が増えると自動的に貯金にまわすことができます。だけど実感として、心の安定、安心は、がんばってお金を貯めるより、自分の仕事のスキルなりを高めたほうが得られやすいと思います。

取材協力:(株)ピースオブケイク

編集後記

編集後記

飾らずさらりと語る言葉に話し方に、知的さがのぞく崎谷さん。そんな崎谷さんをして、お金のある同級生に「憎しみに近い感情を抱いていた」というくだりには盛り上がりました(笑)。福利厚生が充実した大企業の方と結婚し、その恩恵を受けられるようになったら、「大企業って素晴らしい!って、かつての手のひら返しですよ」と屈託なく笑う。率直さと、ご自分の力で切り開いてきた方だからこそのたくましさは清々しかったです!