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病気の種類と予防

アトピー

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アトピーというとまず思い起こすのはアトピー性皮膚炎であろうと思います。けれども医者の立場からするとこれは少しまずいのです。何かといいますと、アトピーという言葉は厳密にはアレルギーの反応を起こしやすい体質のことをいうからです。

アトピーって何だろう

アトピーの語源と種類

このアトピーという言葉も語源はギリシャ語で、アトポス(場違いな、奇妙な)という言葉から来ています。今世紀はじめに Coca という医者が、枯草熱(花粉症)、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、蕁麻疹などの当時の医学知識では説明のつかない、原因不明であるが何か体質にねざして他の人と異なった反応をする奇妙な病気に対してアトピー性疾患とよんだのがはじめです。
現在の医学知識でいいますとアトピーとはひとことで言って身の回りの環境中にある抗原に対して IgE抗体を作り易い遺伝的に決められている体質のことです。もう少し基本的なことを付け加えます。人間のからだは色々な刺激に対して反応するようにできていますが、おもに血液中の細胞、すなわちリンパ球や好中球、単球といった白血球が反応の主役となるものを免疫系と言います。この免疫系は大きく分けて細胞性免疫と液性免疫に分けられます。
“細胞性免疫”というのはリンパ球が直接刺激に対して働く仕組をいいます。
“液性免疫”というのは進入してきた刺激物(抗原)と結び付く抗体という蛋白質の一種(免疫グロブリン)を作るものです。その抗体には IgA, IgD, IgG, IgM, IgEの5種類がありますが、蕁麻疹や気管支喘息、アレルギー性鼻炎そしてアトピー性皮膚炎の大部分に関係のあるものは IgE という免疫グロブリンです。この IgE の抗体を作り易いか或は作りにくいかと言うのは背が高いか低いかと言うのと同じ様に生まれつき決まっている性質で、そのいわば体質をアトピーといいます。
最初に述べましたように、アトピー=アトピー性皮膚炎として話の中で語られることが多いので、我々は頭の中ではどちらを意味しているのか区別をしながら話を致します。

アトピー体質

アトピーの体質(素因)は生まれつき決まっていると述べましたが、アトピーの体質を持っている人が全員ひどいアトピー性皮膚炎や気管支喘息になるわけではありません。アレルギー性の病気はそのような体質と、それ以外のいろいろな条件が組み合わさって病気として現れたり、あるいは重くなったりしますので、たとえばアレルギーの素質を持っている両親から産まれてくる赤ちゃんが全てひどいアトピー性皮膚炎になるわけではありません。くどいようですが、アトピーの素因は自分から切り離せないたとえば血液型のようなその人の一つの個性と考えてはどうでしょうか。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎の特徴

アトピー性皮膚炎の特徴は一言でいいますと、ともかく痒いということです。この痒みというのはアトピー性皮膚炎の一大特徴でありながら、どうして痒くなるのかという理由、原因についてはなかなか研究が進みません。痒みは本人にしか分からない感覚のためそれを客観的に評価することが出来ないことも研究が進まない大きな理由です。

アトピー性皮膚炎の患者さんの大部分は血液中の IgEの値が高く、また環境中にある色々な抗原(アレルゲン)に対する特異 IgE抗体も検出されることや、抗ヒスタミン剤がある程度痒みに効くことからアレルギーの反応が根本にあることは確かです。ただアレルギー反応だけでアトピー性皮膚炎を説明しようとすると、例えば特徴的な乾燥した肌の成立ちなどについては無理があるようです。さらにアレルギーの素因がないのに立派なアトピー性皮膚炎を示す患者さんもいます。けれども特に乳幼児では殆ど全てと言ってよいほどアトピー性皮膚炎の患者さんはアトピーの体質を示します。

その他の特徴

アトピー性皮膚炎は痒いと述べましたがそれ以外にどのような特徴があるのでしょうか。
それらの特徴はとりもなおさずアトピー性皮膚炎を医者が診断するときにどのような手がかりを使っているのかという疑問と同じものですので、厚生省の研究班が作りましたアトピー性皮膚炎診断の手引きを参考のために示します。

参考:アトピー性皮膚炎の診断の手引き

(厚生省心身障害研究「小児期のアレルギー疾患に関する研究」班長:三河春樹京都大学医学部小児科教授(現・関西電力病院院長))

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、アトピー素因のあるものに生じる、主として慢性に経過する皮膚の湿疹病変である。このため、本症の診断にあたっては、いまだ慢性経過の完成を見ていない乳児の場合を考慮し、年齢に対する配慮が必要である。
※アトピー素因とは気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の病歴または家族歴を持つものをいう。

アトピー性皮膚炎の主要病変

乳児について a 顔面皮膚または頭部皮膚を中心とした紅斑または丘疹がある。耳切れが見られることが多い。
b 患部皮膚には掻は痕がある。
幼児・学童について a 頚部皮膚または腋窩、肘窩もしくは膝窩の皮膚を中心とした紅斑、丘疹または苔癬化病変がある。耳切れが見られることが多い。
b 乾燥性皮膚や粃糠様落屑を伴う毛孔一致性角化性丘疹がある。

c 患部皮膚に掻は痕がある。

(注:紅斑、赤い発疹;丘疹、盛り上がった発疹;掻は痕、掻き傷の痕)

(注:苔癬化、つまむと硬い、きめの粗い皮膚;粃糠様落屑、米ぬか様の皮膚の断片)

アトピー性皮膚炎の診断基準

乳児について 上記「アトピー性皮膚炎の主要病変」に示す病変のうちa、bの双方を満たし、下表「除外される単独の皮膚疾患」に示す皮膚疾患を単独に罹患した場合を除外したものをアトピー性皮膚炎とする。
幼児・学童について 上記「アトピー性皮膚炎の主要病変」に示す病変のうちaあるいはb、およびcの双方、並びに下記のイ)ロ)の条件を満たし、下表「除外される単独の皮膚疾患」に示す皮膚疾患を単独に罹患した場合を除外したものをアトピー性皮膚炎とする。
イ)皮膚に痒みがある。
ロ)慢性(発症後6か月以上)の経過をとっている。

除外される単独の皮膚疾患

おむつかぶれ おむつに覆われた皮膚に見られる鱗屑を伴う光沢のある不整形紅斑。時にびらんを伴う。
あせも 夏に発生する小水疱、軽い痒みがある。炎症が加われば、赤い小水疱、膿疱となる。
伝染性膿痂疹(とびひ) 皮膚の細菌感染により生じる水疱、膿疱。水疱、膿疱がやぶれるとびらんとなる。
接触皮膚炎(かぶれ) アレルゲン接触部位に一致した紅斑、丘疹、小水疱および急性湿疹様変化。
皮膚カンジダ症 感冒、下痢、抗生物質投与に伴いやすい鱗屑、紅斑、紅色丘疹。カンジダを検出する。
乳児脂漏性皮膚炎 頭、顔面に生後1カ月以内に発生する、痒みを伴わない鱗屑、油脂様の痂皮。すみやかに治癒。再発はない。
尋常性魚鱗癬(さめはだ) 多くは生後数カ月で発症、アトピー性皮膚炎を合併することもある。四肢伸側、体幹の皮膚が乾燥し、粃糠様ないし小さい葉様の鱗屑を形成する。常染色体優性遺伝。
疥癬 家族内、集団生活に発生する。指、手関節屈側、肘窩、腋窩、下腹部、外陰部に生じる、痒みの強い紅色丘疹、小水疱、小膿疱、疥癬トンネルがある。
虫刺され 虫刺部に生じる丘疹。痒みがある。
毛孔性苔癬 四肢(上腕、大腿)の外側に対称性に現れる、毛孔に一致した、皮膚色、淡紅色、褐色の固い角化性の丘疹。

アトピー性皮膚炎の症状の変化

前述の診断基準ではまずアトピー素因があることという規定を設定しています。
年齢に関係なくアトピー性皮膚炎は痒く、体をよくみると引っ掻いている痕があり、赤ちゃんでは顔が赤くなることが多くなります。また耳切れも多くみられ、診断をする際に大事な所見です。そして脂漏性湿疹単独の変化はアトピー性皮膚炎とは言わないというものです。
実際には生後2〜3カ月くらいの赤ちゃんではアトピー性皮膚炎と脂漏性湿疹の両方を持っていることが多いので話は複雑になりますが、その場合、正確な診断をするためにはしばらく経過を見る必要が出てきます。年齢が上がって幼児以降になると、皮膚の変化は顔から首、ひじや膝の部分に移ってきます。ひじや膝は、関節が曲がる側のことが多いのですが中には関節の伸びる方に強く出ることもあります。

苔癬化

皮膚炎が出来てから時間がたっていることが多く、その間にずいぶんと痒くて引っ掻いていますから、皮膚そのものが厚くゴワゴワになっています。これを苔癬化といいます。この苔癬化は赤ちゃんの場合もアトピー性皮膚炎がかなりひどくて適切な治療が行われていないときに出現することがありますから、幼児以降だけの特徴というわけではありません。そして広い範囲の皮膚の乾燥傾向が強く、いわゆるパサパサの状態になって、衣服を脱ぐと細かな皮膚の断片がパラパラと、ひどいときはふけのように体のあちこちから落ちてきます。

とびひとの併発

またとびひはそれが単独であるときはアトピー性皮膚炎の診断から除くことになっていますが、夏などは、アトピー性皮膚炎に上乗せで起こってくることも多いのが事実です。

症状が出た場合は病院へ

以上のような事柄を総合してアトピー性皮膚炎の診断をするわけですが、ごく軽い場合、または皮膚に変化が出て間もないときを除いて診断そのものは比較的簡単にできます。
赤ちゃんの場合は最初は乳児湿疹です、といわれることも多いと思いますが、医者が誤診をしたわけではなく、痒みが最初ははっきりしないことがあり、また皮膚の変化も時間をかけて変化を追う必要があるためと解釈してください。そして初めて医者を訪れるときはやはり小児科へまず行くべきと考えます。

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎になる原因についてはその素因や遺伝という観点から前の項「どのようなこどもがアトピーになるのでしょう」で述べましたので、ここではおもに症状の原因、あるいは悪化要因になることを考えてみます。

ひとつはアレルギー反応を引き起こすもとである抗原を考えなければならないと思います。
アレルギー反応の場合はアレルゲンと呼びますが、身の回りの環境を考えると実に多くのものがアレルゲンとなり得ます。
特異 IgE 抗体を証明できれば、その相手方である抗原はアレルゲンであると証明できますが、アトピー性皮膚炎の場合には症状の起こりかたとの因果関係を証明することが困難なこともあって、明らかなアレルゲンとなり得ると証明されているものはそれほど多くはありません。

食物の影響

赤ちゃんのときは離乳食を開始することでそれまではおそらく未知のものを体の中に摂取していくわけですが、仮に卵を少し食べさせたときに口の周りが赤くなったり、あるいは体をモゾモゾさせるなと思ったらそれまでに気付かれていた湿疹の部分がひどくなっていたというような体験を繰り返し経験すれば、卵とアトピー性皮膚炎の関わりは比較的よく理解されると思います。あるいは豆腐をいつもよりも多く食べさせたらどうも痒そうだ、という体験もあるでしょう。
肝心なことはそのような体験が1回だけでなく、2回、3回とあるのかどうかです。つまり再現性があるかどうかで、アレルギー反応であるのかどうかの目安とします。
もっとも人間の体は過剰な反応を防ごうとする機能もありますので同じ条件にしても中には症状が再現できないこともあるでしょうが、普通はしつこく試してみて、似通った反応があればアレルギーとして考えます。
極端な例ではアナフィラキシー反応といって少量を口にしただけで短時間のうちに赤く腫れ、全身的にも蕁麻疹が出来、さらにひどいときは血圧も下がって意識を失うというような、まかり間違うと生命の危険も想像できる反応がありますが、そのアナフィラキシー反応とアトピー性皮膚炎の悪化が常に結びつくとは限りません。
反対に急な反応はないのに数時間後あるいは遅いときは翌日に体が赤くなりボリボリと掻いている、という現象が観察できることもあります。いずれにしても食べ物がアトピー性皮膚炎の悪化要因になっているかどうかについては出来るだけ客観的な綿密な観察が必要です。

入浴方法による影響

アレルゲン以外に見逃せないのは、入浴方法です。具体的には赤ちゃんをどのようにお風呂に入れているかを尋ねますが、石鹸や沐浴剤の種類もさることながら、ゴシゴシと念入りに洗い過ぎていないかどうかが重要なチェックポイントです。
赤ちゃん、あるいは年長児、成人でもアトピー性皮膚炎を持っていると乾燥した肌であることが多いのですが、丹念に洗い過ぎるとますます乾燥し、それが新たな痒みを呼びます。
刺激のできるだけ少ない、香料や色素の使っていない石鹸を用いて、手だけでつるつると洗ってあげるだけでアトピー性皮膚炎がかなり改善されることをしばしば経験します。
また、ひたいやうなじなどが特にひどい場合にはシャンプーをより刺激の少ないものに変えると改善することもありますので、入浴方法の点検は意外と重要です。

室内の埃・ダニ、花粉などによる影響

室内の塵埃の中の目に見えない小さなダニがアトピー性皮膚炎にとっても重要なアレルゲンですので、寝具やじゅうたん、畳、あるいはクッション、縫いぐるみなどの電気掃除機による吸引掃除が十分でないときに、アトピー性皮膚炎が悪化することがあります。
さらに年長児でスギ花粉に陽性になっている場合、スギのシーズンに衣服の外に出ている部分、特に顔の赤みや痒みが増すことがあります。これはスギ花粉の直接的な作用であろうと考えられています。

アトピー性皮膚炎を予防するための食事制限について

お子さんを妊娠しているときの食事制限

初めてのお子さんがアトピー性皮膚炎になり、さらに気管支喘息となったという体験を持っておられる親としては次の子は何とかアレルギー性の病気にしたくないと思うのはもっともであると思います。
その場合によく試されるのが、妊娠中からある程度の食物制限をしてみるやり方です。わが国では親自身にアトピー素因がある場合、妊娠8カ月から授乳期間8カ月まで卵を除去して、産まれてきた赤ちゃんも8カ月までは卵を除去し、アトピー性皮膚炎や気管支喘息の発症率を見た成績がありますが、それによりますと、第1子に比較して第2子でのアレルギー性疾患の発症が少なかったというものです。
一方欧米では妊娠の早期から卵と牛乳を除去し、アレルギー性疾患の発症率を長い年月にわたって追跡調査をした成績がありますが、アトピー性皮膚炎と気管支喘息ともに発症を予防しなかったという成績や、アトピー性皮膚炎の発症は除去を実施したグループで少なかったが、しかし気管支喘息の発症率には差がなかったというものと、少し異なった結果がでています。
このように妊娠中や授乳期間中に母子ともに食物除去をすることの確実な効果というものはまだ明らかではありません。

ただ、第1子でかなり苦労をしたおかあさんで、この次には何とかしたいという意志を持たれている場合には、無理のない範囲で卵の除去を指導することはあります。無理のない範囲ということは、母親の精神的な負担にならないようにという意味で、除去をしたら必ず次の赤ちゃんはアトピー性皮膚炎にならないという保証はありませんので、あまり除去を、除去をと思い詰めてしまわないようにという意味です。従って除去をしている場合でも完全ではなく、量的に控えるという程度に終わっていることが多いようです。
正直なところそのようなやり方での効果は不明です。

授乳期間中の食事制限

一方で、母乳を飲んでいる赤ちゃんの場合、すでに多少アトピー性皮膚炎を疑い、上の子や親にアレルギー性疾患がある、すなわちアトピー素因が強いとき、検査をまず行い、明らかに卵や牛乳に対する特異 IgE 抗体があるとわかったときには、母子ともにそれらの食物の除去をしばらく行います。そのような例では必要に応じた局所療法や、環境の整備も同時に行いますので、厳密に除去食の効果を確かめることは困難ですが、特異 IgE 抗体の量がそれほど多くない例では2〜3週間の除去の後、おかあさんに食べてもらって母乳を通じて赤ちゃんが反応するかどうかを見ます。反応が見られるときはもちろん授乳期間中を通じて除去を継続します。反応が幸い明らかでないときはおかあさんの食べ具合としては量的な制限のみにとどめるやり方をしています。
赤ちゃんの方は少なくとも生後8〜10カ月までは完全除去をするようにします。

完全に発症をおさえることは難しい

以上述べましたことはアトピー性皮膚炎にならないようにというよりはむしろ悪化しないように食物制限を試みる、と解釈をしていただけたらよいと思います。食物除去のみでアレルギー性疾患の発症をすべて押さえようとすることはとても無理があると思うからです。

アトピー性皮膚炎はどのように治療したらよいか

アトピー性皮膚炎の治療を行うとき、もっとも大事であると考えられることはともかくもじっくりと地道にやるということです。
ちまたには多くの民間療法も含めていろいろな情報があふれています。それらの情報を耳にすると、あれがよさそう、これを試したいと、聞く側の気持ちは揺れ動くであろうことはよくわかります。
しかし残念ながらアトピーの治療にだれでもが必ずうまくいくという治療法はありません。これをしたらどんぴしゃり必ず良くなる、という秘法みたいなものはないのです。このように申しますと、がっかりされる方も多いとは思いますが、あれこれ目新しい治療法に飛びつく前に、これまでの手持ちの治療法をどれだけきっちりとやっていたのかを思い返してください。

ステロイドの使用について

ステロイドの功罪の、罪の方がかなり強調された情報が氾濫していますが、功の方にももう一度目を向ける必要があるのではないでしょうか。飲む薬もつける薬も薬剤には必ず良い面と悪い面すなわち作用と副作用が存在します。 副作用がないといわれる漢方薬にも立派な副作用があります。要するに薬物はしっかりとした知識を持って経験を積んだ医師の指示に従って用いればそう簡単には副作用の方が多くて困ってしまうという状態にならずにすむと思います。

ステロイド剤に関しますと、いっときは確実な効果があるためにややもすると医者の方もそれに頼ってしまうきらいがありますが、その限界をよくわきまえ、他の補助的な治療法、生活環境の改善などを織り込んだ治療をしていくことによって、かなりの程度のアトピー性皮膚炎でも改善することが可能です。

ステロイドも他の薬剤と同じように、ただ良い、あるいは頭から悪い、と決めつけるものではありません。
実際の治療については小児科医と皮膚科医で多少異なる点はあります。乳幼児の場合と、さほど重症でないときにはまず小児科を受診する方がよいでしょう。かなりの重症のときは皮膚科医の協力あるいは指導のもとに小児科病棟へ入院することもあります。いずれにしましても、皮膚症状がかなりひどいときは局所療法をきっちりと行わなければなりませんから、皮膚科医の指導が大切になります。その時にステロイドを用いることに対してどうしても抵抗感があるときにはその旨はっきりと意思を表明すべきと考えます。

アトピー性皮膚炎の治療方法

小児科で行っている治療の概略をここで示しますが、医療というものはあくまでも個別のものですから、患者さんの状態によって、あるいは親の考え方、生活環境の違いによって治療そのものが変化し得るということを一応お断りしておきます。

薬の投与

アトピー性皮膚炎の程度によっては、その炎症を鎮めるためにステロイドの塗り薬を用います。しかし漫然と同じステロイドのみを使うのではなく、最初は1週間ごとに来院していただき、ある程度の強さのステロイドからだんだんと弱いものへと変更していきます。
ステロイドの塗り薬は現在弱い方を1とすると、1〜5までの5段階あります。小児科領域では5の最強のものはまず使うことはありません。かなり強い症状であっても3から始めることが多く、ごくたまに4のものを使わざるを得ないことがある程度です。そしておよそ3日づつ程度を弱めていくことを試みます。またからだのなかで少し強めのステロイドを塗っても比較的大丈夫なところと、そうでない場所がありますから、場所による塗り分けも大事です。顔と首、そして外陰部はその外のからだ、あるいは手足に比べて1段階弱いものを使う方が無難です。朝と入浴後の1日2回塗りますが、翌週にみるときは1段階弱いものを塗った状態での変化を見ます。また皮膚の乾燥が痒みを呼びますから、保湿剤を基礎薬として積極的に塗ります。
最も安定している例ではその保湿剤のみであとはなにも塗らないで良い皮膚の状態を維持できます。かゆみがどうしても強く、掻くなといっても強烈な感覚のため掻かざるを得ず、ひどいときは引っ掻いて気がついてみたら血だらけで、それを見る親御さんの方はとても気持ちが落ち込んでオーバーな表現ではなく、絶望的になってしまうこともありますが、そのようなときは飲み薬で、抗ヒスタミン作用(痒みを押さえる作用)を持った抗アレルギー剤にさらに抗ヒスタミン剤そのものを上乗せし、それでも夜も眠れないときには軽いトランキライザー(精神安定剤)を処方することもあります。
但しそのような困難な患者さんは幸い少ないのです。多くは抗ヒスタミン剤単独、あるいは抗アレルギー剤単独と局所療法で次第に改善していきます。

食事

食物は、特異 IgE 抗体を調べ、明らかに陽性のものに関してはそれまでに食べたことがあるかどうか念入りに尋ねます。もしも過去にそれを何度も食べていて、痒みが出るとか、どこか赤くなるとか、あるいは蕁麻疹のような腫れて赤くなるような変化とかが全くないようでしたら、血液上の反応はあってもその食物を最初から除去することは考えません。
しかし、得てしてひどい症状が続いているときは食物に対する反応がよく分らないこともあります。そのようなときは試しに2週間ほど血液で反応した食物を除去してみることがあります。除去後に再度その食物を与えて変化があるかどうかを確認します。
除去期間とその後の誘発期間を比較して症状の改善、次いで悪化という変化があればその食物はアレルゲンとして認められると思います。そして治療としての除去食を行う対象となるでしょう。
離乳食をまだ開始していない赤ちゃんの場合には検査上陽性のものが限られていれば、それを新たに離乳食に加えていく時期を遅らせます。最も頻度の多いものは卵白です。現行の離乳法では卵は離乳初期から加えていますが、生後少なくとも8カ月以降にするよう指導する場合が多いです。

このような食物とアトピー性皮膚炎の関係についてはいまだ論争のあるところですので、一般論で片づけられない部分が多くあります。主治医の先生と親御さん側とで考え方が異なることもあります。大事な点はお互いの考え方の押しつけ合いにならないことです。

室内の環境、空気

アトピー性皮膚炎の一つの原因としてダニ抗原も考えられていますので、気管支喘息の治療に環境の改善が重要であると同様にアトピー性皮膚炎についても寝具やじゅうたんの掃除は必要であると考えます。
さらに年長児でスギ花粉にすでに陽性となっている例では花粉飛散の時期に一致して衣服からでている部分、特に顔が赤くなってしまう症状が見られることがあります。このようなときには外出から帰ったらすぐに顔を洗うこと、また衣服をよくはたいてから屋内へはいることを勧めます。

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